お昼寝日和



お昼休み。友達はほとんど彼氏とごはんを食べに行く。それが少し羨ましかった。なんせ私の彼氏はいつもフラフラどこかへ行ってしまうからだ。今日もそう。1限はほとんど寝てたけどおったのに、2限はおらへんくなって、3限の終わりごろに帰って来て、4限が終わったらまたどこかへ行ってしまった。ほんとあの放浪癖なんとかならんのやろうか。呆れながら教室で友達とご飯を食べていると、突然頭の上が重くなった。



「お、おもっ、ちょっと千歳!?」

「まゆの弁当うまそうたい。そのタコさん食べたか」



そう言って私の頭に思いきり体重をかけていた手をどかして机の横にしゃがんだ。全くどこに行ってたんだか。私はフォークでタコさんウインナーを刺し、千歳の口元に運んだ。ぱくっと食べると、美味しそうにニコっと笑い、最高たい、と言った。このやりとりを見ていた友達は邪魔やない?と言ったけど、邪魔やないよ、と返した。そう言った理由は、千歳はきっとまたふらっとどこかへ行くからだ。ほら、その通りに千歳は立ち上がった。結局千歳にとって私って何なんやろうか。彼女ってこんなものなのか。



だけどこの日は違った。お弁当をちょうど食べ終わった私の手を千歳が引っ張った。




「え!?ちょっ、何!?」

「ちょっとまゆのこと借りてくばい」

「はあ!?」



千歳に引っ張られること数分、もはやテニス部の体力についていけない私は完全に疲れきっていた。千歳がようやく足を止めてくれたのは、裏山に着いたときだった。ぽかぽかと秋にしてはあたたかい陽のあたる場所に腰をおろした千歳。その隣に私も座った。



「今日は天気が良かねぇ。こぎゃん日は外で昼寝するのが一番よかばい」

「私は、あの…一体」

「たまにはまゆとこうしてゆっくりしたかったと」



そう言って私をぐいっと引き寄せてぽすっと寝転がった。一気に自分の顔が熱くなるのがわかる。ああ、こんな日はたまには甘えてみようかな。




「千里くーん」

「何ね」

「好きやで」

「知ってる」



少し照れながら私に優しいキスをしてくれる千歳。


なんだかんだ私はあなたが彼氏でよかったです。





甘いお昼の時間を君と

(やば!千歳!もうこんな時間)
(んー?そろそろよか時間ばい)
(何が!)
(トトロ探しに行かんね)
(…勝手に行け!)



END





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