眠れない夜は



深夜2時。ベッドに潜って早2時間が経過した。私はなぜか眠れずにいた。明日は期末テストだっていうのにどういうことか。仕方なしに起きてそうな友人である仁王に電話をかけることにした。電話帳から仁王を探し、通話ボタンを押した。3コール目で仁王がでた。




『なんじゃ』

「寝れないんだけど」

『……知らん』

「どうせ仁王起きてたんでしょ?相手してよ!」

『悪いのう。残念ながら先客がいるナリ』

「はぁ?」

ん、…ま、さ あ、やば』

この万年発情期野郎!!



ブチっと勢いよく電話を切った。そういう相手してじゃねえし!お前となんかヤりたくねえし、っつーか期末テスト前日に何盛ってんだコイツ!アホじゃねえの!?私は次にこれまた友人である丸井に電話をかけた。



『………何』

「あ、丸井?寝れないんだけど!」

『知らね。俺、寝てたし』

「私は寝れないの!っていうかさっき仁王にかけたらさー」

『うるせ、俺寝てるっつってんじゃん!寝かせろぃ!』

「やだよ!私は寝れないんだから!」

『でた自己中。うぜ』

「ねーえー、まーるーいー!」

『マジうぜえ。お前なんかに付き合ってられっか。じゃあな』

「あ、ちょ『ブチ』



あの丸ブタ切りやがった!うぜー!もう絶対にお菓子なんてあげないし!っていうか丸井なんてテストで赤点とればいいんだ!それで真田に怒られてしまえ!あ、そうだ!真田にかけよ。真田なら話聞いてくれるかな。そう思って真田に電話をかけたが繋がらなかった。電源切ってやがる……。携帯の意味あんのかおじいちゃん。次に柳生にかけた。柳生なら優しいからでてくれるはず!



『もしもし?』

「あ、柳生?ねぇねぇ私寝れないんだけど」

『上原さん。今、何時だと思っているんですか?非常識にも程がありますよ』

「えー」

『それに明日はテストです。早く寝るべきですよ。それでは失礼します』

「ああっ、やぎゅ『ブチ』




柳生のばーか!紳士はレディーが寝るまで話してくれるだろうが!ふんだ。つぎにジャッカルにかけたらでなかった。コイツ電話で起きたけど私からだったから出るのやめたな…。明日会ったら何か奢らせよう。次に赤也に電話をかけた。




『もしもし』

「赤也、寝てた?」

『寝てませんよ…』

「どうしたの?元気なくない?」

『真田副部長に英語で赤点とったらレギュラー外すって脅されて…。明日英語なんでもう今超必死で…』

「そうなんだ…。なんかごめん。じゃあ勉強頑張ってね」

『はい、じゃあ』



こんな死にそうな赤也初めてだぞ!真田こえーな、おい!次に柳に電話をかけたが1コール目でブチっと切られた。容赦ねえな、柳。皆でるかでないかだったのに!


残るは神の子のみだ。電話をかけるか?でも怒られるのは目に見えている。どうしよ。そろそろ情事が終わったであろう仁王にもう1回かけるか?それか怒られる覚悟で神の子に電話をかけるか。前者は無しだな。仁王のことだからもう1回ぐらいヤってそうだし。しょうがない。私は怒られる覚悟で神の子、もとい我が彼氏に電話をかけた。すると1コールもしない間に電話にでた。マジこわ、



『………』

「も、もしもし?精市さん?あの」

『遅いよバカ。俺に電話する前にレギュラー全員にかけてたとか、お前は真っ先に彼氏である俺に電話をするべきだろう』

「え、あの、なんで知って」

『俺がお前のことでわからないことなんてあるわけないだろ』

「……ですよねー」




この彼、幸村精市くん。なぜか会っていなくても私のことをすべてお見通しな神の子で。相変わらずのマシンガントークで深夜だってのに説教をされた。



『本当お前ってなんでそんなにバカなわけ?』

「すいません」

『はぁ。今日は期末テスト前日だし。しょうがないから許してあげるよ』

「ほ、ほんとに!?」

『ああ。ほら、お前が寝るまでしゃべっててやるから』

「ありがと、精市くん!」



精市くんはいつも怖いし、逆らえないけど、でも時々こういう優しところが本当に大好きです。





真夜中の電話

(あれ?まゆ、すごいクマじゃね?)
(俺らに電話かけたあと何があったんじゃ?)
(……精市くんに夜な夜なシンデレラについて語られマシタ)
(うわ、幸村君鬼畜)




END





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