おくら同好会 「は!?お前、おくら嫌いなんか?」 「そうやけど」 「ありえへん」 いやいや、私的にそのお弁当のほうがありえへんと思うけど。お昼休み。弁当を忘れた私はお金もないため、クラスの人達から弁当を少しずつ分けてもらっていた。小春ちゃんと一氏が食べているところにお邪魔すれば、視界に入った一氏の弁当がありえへんぐらい緑色をしていた。よく見ればおくら尽くし。どうなん、それ。しかもそれをおいしそうに食べる一氏にドン引きしたら殴られた。 「よく見ろ!この偉大なおくら様を!」 「いや、どのへんが偉大なん」 「偉大やろうが、ボケ!っつーかお前なぁ!弁当分けてあげてんやから我慢して食えや!」 「嫌や、苦手やもん」 だっておくらってネバネバしてんじゃん。なんか気持ち悪くない?おいしくないっていうか。 「ほなお前をおくら同好会へ入れてやろう」 「人の話聞いてた?おくら苦手っつってんじゃん」 「そんなお前をおくら好きにさせたるんやろ、感謝しろブス!」 頼んでないですけど。私は小春ちゃんのたまご焼きをもらいもぐもぐしていると、お前が小春のたまご焼き食うな、どアホ!とまた殴られた。だから痛いって。私バカになったらどうすんねん。あ、アカン。元からバカやった。 「よう見てみ!このおくら様」 「さっきもそんなような台詞聞いたで」 「いいからよう見てみろ!このお花のような素敵な形。それでいて栄養たっぷりやねんで」 「んー、わからん」 「ほんっまわからんやっちゃな!ほな食うてみろ!実践や」 「いや、部長。いきなり実践は…」 果たして一氏がおくら同好会の部長かどうかは知らんけど、っていうかおくら同好会って他に誰がおんねん。目の前に差し出されたおくら。うわー、無理。 「無理、無理。ほんまに」 「いいから食べろ」 ぐいーっと顎を掴まれ無理矢理口を開かされた。犯されるー!と叫んでみたが、お前みたいなん犯すわけないやろ、と言われた。あーあ、今ダメージ超うけたよ。無理矢理口に入れられがごっと顎をあげて口を閉じさせられた。いってえ!歯がごちって言ったんだけど! 「どや!うまいやろ」 無理矢理食べさせられたわりには、なんだかおくらをそこまで苦手やないかも、と思ってしまった。いや、これはきっと一氏のお母様がお料理上手なだけで。でも、初めて食べたおくらは案外おいしかった。 食わず嫌いやったんか (ほな今日からおくら同好会、活動開始や) (え、結局入ることになるんすね。しかもまだ活動してへんかったんかい) END |