Which?



誰もいない教室、夕日に染まる2人の影。学年一美形でかっこいいモテモテの男子テニス部部長、幸村精市。その隣にいるのはこれまた学年で可愛いと有名な女の子。見てるだけでも絵になるような二人。優しく笑い合い、手を繋ぎ、教室を出て行く姿は、見ていてとても微笑ましい。


「幸村君!」

「何だい?」

「先生が、まだ学校に残ってるなら手伝ってほしいことがあるから、教室で待ってろだって」

「そう」


今まさに階段を降りようとしていた幸村君を呼びとめた。隣で驚いている彼女に、すまないが先に帰っていてくれるかい?と幸村君が微笑めば、頑張ってねと彼女は笑って帰った。うん、優しい彼女さんだ。私と幸村君は教室に入り、ドアをぱたっと閉めた。もちろん先生なんていないし、来るはずもない。窓から外を見ると、先ほど幸村君の隣にいた彼女が帰っている姿が見えた。ふと振り返った彼女に優しく手を振る幸村君。それを見て、にこっと笑って手を振り返す彼女。ああ、ホント素敵なカップル。再び彼女が前を向いて歩きだしたのを確認してから、幸村君は私の顔を引き寄せキスをした。


「いい彼女だね」

「お前には及ばないよ」

「だろうね」


お前は最高だよ、と妖艶に笑う幸村君を知ってるのはおそらく私だけ。誰もいないオレンジ色に染まった教室で深い口付けを交わした。



本命はどっち?

(もちろん私)
(だって私の方が百倍可愛いもの)



END





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