07 「そうだ。片倉さん。水変えてきてくれるかい?」 「あ、はい!わかりました!」 「花瓶割んじゃねぇよ」 「割らねえよ!切原と一緒にすんな」 柳先輩に指名されて、片倉と一緒に来た幸村部長のお見舞い。幸村部長は元気そうでよかった。 「楽しそうにやってるみただね」 「副部長から何か聞いてるんスか?」 「何も聞いてないけど?何かあったのかい?」 「な、なにもないッス!」 なんだよ。副部長、何も言ってねぇんじゃん!よかったー!幸村部長はクスっと笑って、片倉とはどうだ、と聞いた。どうって、 「別に何もないッスけど」 「そう。てっきり二人で来たからもう付き合ってるのかと思ってたけど」 「何言ってんスか!付き合ってるわけないじゃないッスか!」 「顔赤くして、可愛いね、赤也は」 「なっ!別に赤くなんてなってませんよ」 とは言ったものの、自分でも顔が熱くなるのがわかる。何で俺があんな女に。 「彼女も可愛いよね。反応もおもしろいし」 「そうッスか?可愛げないと思うんスけど」 「誰が可愛げないって?」 「うわっ!おま、いつからいたんだよ!」 「はぁ?今だけど。何?そんなに私の悪口言ってたわけ?」 「違うよ、片倉さん。君が可愛いって話をしていたんだ」 「えっ」 幸村部長のその言葉に顔を赤くさせる片倉。何?幸村部長のこと好きなわけ?無意識にイラっという感情が湧き上がってくる。 「そうだ、赤也。真田から聞いたんだけど、もうすぐ中間テストだって?赤点とらないようにしないとまた真田に鉄拳食らわせられるよ?」 「う、部長ー。何とかしてくださいよー」 「自力で勉強しろっつーの」 「うっせぇな!お前だって俺とどっこいどっこいだろうが!」 「はぁ!?切原ほど頭悪くないんですけど!」 「お前潰すぞ」 「潰せるもんなら潰してみろ」 うっぜー!マジうぜえ!あー。なのにコイツが好きとかどうかしてる。違うな。可愛げがないのは俺の方で、コイツといるとどうしても突っかかってしまう。 幸村部長のお見舞い (もうこんな時間だ) (ほんとだ) (赤也。ちゃんと送って行ってあげるんだよ?) (え、) END |