06


テスト週間で部活が休みのこの時期。私と切原は柳先輩の命令で幸村先輩のお見舞いに行くことになった。何で私まで…。でも柳先輩、開眼とかするんだもん、マジこわすぎて逆らえなかった。


「あー、あった。ここのケーキ屋だ」

「は!?」

「え?何?」

「何でケーキ屋になんて寄ってんだよ!腹でも減ってんのか?」

「はぁ!?アンタもしかしてお見舞いに何も持たずに行くつもりだったわけ?」

「いけねーのかよ!」

「当たり前でしょ!どんだけ幸村先輩に世話になったと思ってんだよ」

「お前、そんなに部長に世話になってんのかよ」

「私じゃねーよ!お前だよ!」


ほんとバッカじゃないの!私なんか幸村先輩の世話になるどころか、怖すぎて近づけないぐらいなんだからね!丸井先輩が教えてくれたおいしいケーキ屋さんに寄って、ケーキを3つ買った。


「あーあ。幸村部長に何言われんだろ。真田副部長とかがぜってー俺のこと話してるだろうしなー。あー、こわ」

「幸村先輩に思い切りしごかれたらいいんだよ、もう」

「そんなことしか言えねーのかよ、お前は」

「あー、はいはい。ほら、電車来たよ!電車の中で騒がないでよ、恥ずかしい」

「騒いでねーだろうが!」


自分でもわかってる。私は可愛くない。可愛げもない。っていうか今さら私が切原ーなんて語尾にハートでも付けて言ってるところを想像するだけで気持ち悪い。そんなキャラじゃないし。切原と二人ってだけで心臓がうるさいんだもん。

電車が来て、隣同士に座って、電車が揺れるたびに肩が触れ合う。近すぎて切原にも心臓の音が聞こえてんじゃないかってぐらいにドキドキする。切原はどうせ何も思ってないんだろうな。


「えーっと、ここの病室だよね」

「よっし。幸村ぶちょ「バカ!ノックが先でしょうが!ほんと常識の欠片もないね、切原って」

「うるせえ!ノックすりゃいいんだろ!?」

「後でしたって何の意味もないんだからね!」

「ふふっ。ははっ!変わってないね、二人とも。入っておいでよ」

「え」

「あ」

「「失礼しまーす」」


切原と病室の前でギャーギャー騒いでたのが、どうやら幸村先輩にも聞こえてて、幸村先輩はお腹をかかえて笑っていた。そんなにもおもしろかったですか!


「久しぶりだね、片倉さん。赤也も久しぶりだね」

「お久しぶりです」

「部長、元気そうッスね」

「君たちのおかげかな。ほら、突っ立ってないで座りなよ」

「あ、はい。えっと、これ、良ければ食べてください」

「ケーキか。ありがとう。ん?3つあるね。食べてくかい?」

「はい」

「お前、最初からそのつもりで買ったのかよ」

「何か文句ある?」

「別にないけど」

「ふふっ。ホントに変わってないね」


久しぶりに見た幸村先輩は、相変わらず綺麗で、でもどこか痩せたような感じがした。



幸村先輩のお見舞い

(うおっ!このケーキうま!)
(うわ!おいし!さすが丸井先輩のチョイス!)
(君たちは可愛いね)



END





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