01 春。桜が満開の4月。 私、片倉繭は中学2年生になりました。掲示板でのクラス発表を見終え、教室に入る。 「繭、おはよう」 「リナ!おはよー。同じクラスだったんだ」 「また1年間一緒だね。よろしく」 「うん!」 小学校からの大親友、桃谷リナとは1年のときも同じクラスで、部活も同じテニス部。美人でしっかり者で、皆から憧れられる存在。指定されている席に向かうと、どこかで見たことあるモジャモジャ頭が目に入った。 「げ、」 「今、げって言ったろ」 「また切原と同じクラス!?ホント勘弁してほしいんだけど!」 「それはこっちの台詞だっつーの!しかも何で隣の席に座ってんだよ」 「しょうがないじゃん!席ここだったんだから」 「マジ最悪」 それはこっちの台詞だよ!このモジャモジャワカメ頭の男、切原赤也は去年も同じクラス、隣の席だった奴。男子テニス部である彼とは、部活の時に会ってもいつも喧嘩ばかりでリナや男テニ副部長の真田先輩に怒られてばかりである。 そんな彼、切原赤也を実は好きだったりもする。なんでかはわかんないけど。 「っていうか珍しく早いじゃん。いっつも遅刻してんのに」 「ホントお前失礼だな!俺だって遅刻しないときぐらいあるんだよ!」 「ふーん。雪でも降るかな」 「降らねぇよ!」 ******* 人のことをいつも遅刻している遅刻魔よばわりしやがる(間違ってもねーけど)この女、片倉繭。1年のときから同じクラスで隣の席で、部活も男女違うだけで同じテニス部とかやたらと一緒になることが多い。そのせいかいつも喧嘩ばっかで、いや一方的に俺がつっかかってんのかわかんねぇけど、よく真田副部長や桃谷に怒られる。 「なぁ、今日も部活あんの?」 「当たり前じゃん。は?何?男子部活ないの?」 「あるに決まってんだろ!」 「で?何?部活があったらいけないの?」 「そうは言ってねぇだろ!女子がなければ俺らが広くコート使えんのに、って思っただけだよ」 「何だそれ。自分勝手」 いつも言い合いばっかしてるけど、俺はコイツのテニスをしている姿が好きで、あ、いや、コイツが好きとか、そういうわけじゃ、なくもないんだけど。本当に楽しそうにテニスをしてるからいつも見入っちまう。だから部活中はそのおかげで真田副部長からの鉄拳の数が増えた。 それでも、目で追ってしまうのはやっぱりコイツが好きだからで。何でかわかんねーけど。 想い合う二人 (想い合っているのに) (伝わらない) END |