10



私が一氏くんに会わなくなってから、2週間が経とうとしていた。廊下ですれ違っても、目も合わさず声もかけず、避け続けた。ぶっちゃけこの2週間で私の存在のこと忘れてんちゃうかな、って思う。


「雪」

「んー?何、白石」

「まだユウジが好きか?」

「うん、好き」

「そうか。そんなら俺が協力できるのもこれで最後や」

「え?」

「最後は直球勝負や」

「それは、つまり、」

「告白や」


こここ、告白!?え、もう私に出来ることってそれぐらいしかないん?思い返せば私が一氏くんを好きになって1ヶ月は経つわけやし、確かにいろいろやらかしてあとは告白ぐらいしかないかもしれへん。


「告白……」

「お前の気持ち、ユウジにぶつけてくるんや」

「う、うん!そうやんな!よっしゃ、いっちょぶつけてきたろやないかい!いってくる!」

「あ、ちょ、待っ!あーあ、また突っ走って」

「このままやとアイツ、教室内でユウジに言うで」

「ま、それもアイツらしくてええか」



その10、最終的に直球勝負



久しぶりに行く8組。前を通ることは何度もあったけど教室の中に入るのは久しぶりやったから緊張するわー。後ろのドアから教室内を覗くと窓際で小春ちゃんと絡んでる一氏くんを発見した。あー、相変わらずかっこいい!大きく深呼吸をしてから私は一氏くんの元へ駆けて行った。


「一氏くん!」

「うわっ!?なんやねん、お前か。ビックリさせよって」

「一氏くん、あのね!」

「何やねん」

「私、一氏くんのことが好きやねん!」

「……は?」

「だから!私、一氏くんのことが好きやねん!恋愛として!大好きやねん!」

「は、おま、ちょ、」

「雪ちゃんたら、こない大勢いる前で告白とか、大胆ねぇ」


はっ、今思えばそうやん!私、何も考えずに教室ん中で告白してしもたけど、よう考えたら教室内には生徒がいっぱいおって…ははは、皆注目してはるわ。


「お前、こっち来い!」

「はわっ!」


一氏くんに腕を掴まれ、教室を後にする。怒ってるんかな?そらそうやろなぁ、教室ん中で告白とか迷惑極まりないことしてしもたし。ああ、私こうやって反省すること出来るようになったんやー。成長したわー。ようやく私を離してくれたんは、誰もおらん空き教室についたときやった。なんならそのまま持ち帰って頂いてもよかったのに、なんて言うたら殴られそうやからやめとこ。


「お前は、アホか!」

「アホですけど」

「認めんなや!アホか!アホやろ!普通、教室で言うことちゃうやろ!」

「だって言いたかったんやもん」

「言いたかったちゃうわ!ほな俺がお前に教室の中のしかも大勢いる前で告白したらどう思うねん!」

「え、えー!それめちゃめちゃ嬉しいんやけど!」

「アホか!自分のことだけやなくてこっちのことも考えろっちゅーねん!」


お前はアホか、あーほんまアホ、なんて言いながら一氏くんはしゃがんだ。え、そんなに私やったらアカンことした?


「ホンマ、アホか自分」

「そこまでアホアホ言わんでも、もうわかったって」

「ちゃうねん。アホ。何で俺がお前みたいなアホにドキドキさせられなアカンねん。それがいっちばんむかつく」

「え」


今、なんと!?ドキドキするって言った?一氏くんが?私に?わ、わっつ?


「お前が全然来なかったこの2週間。お前のことばっか気になって、2組の前を通るたびに探して、メールしようとしたけど何送ってええかわからんし」

「え?」

「あんななぁ!告白まがいのことされて気にならん奴なんておらんやろ!」

「告白まがい?」

「好きな人が俺みたいな」

「え、あれ気付いてなかったんちゃうの?」

「あんなハッキリ、小春が好きでオクラ好きで、しかも今までの行動思い返せば誰でもわかるっちゅーねん!」

「うえー!?そうやったんやー」

「でも、俺そのときはお前のこと別に何とも思ってへんかったし。でも考えれば考えるほど気になってしゃあないねん!それなのにお前は避けよるし!」

「一氏くん!」

「何や」

「好きです!付き合ってください」


私がそう言うと、真っ赤な顔の一氏くんは、さらに顔を真っ赤にさせて、俺も好きや、と言った。嬉しくて思わず抱きつくと、離れろ、襲うな、と殴られた。


「一氏くーん、好きー!」

「あー、もう、わかったっちゅーねん!」

「よかったなぁ、ユウくん」

「よかったな、雪」

「小春!」

「白石ー!」

「おっと」


突如現れた白石と小春ちゃんと謙也。私は白石に抱きついた。だって今まで白石が協力してくれたおかげやもん!白石はよかったなぁ、と私の頭を撫でてくれた。


「雪。ユウジの目が点になってんで」

「お、おま、好きなん俺ちゃうんか!?ああ?」

「好きなのは一氏くんやで?でも白石は協力してくれたんやもん」

「ユウジ。雪は思い立ったらすぐ行動やから、こんなんにいちいち驚いてたら身がもたんで」

「ほな謙也君。小春達もええことしまひょか」

「せえへんわ!離せ!」

「浮気か!二人とも!死なすど!」



無事に付き合うことができました

(ほな蔵リン!今度はアタシが謙也君と付き合うための方法教えてや)
(ああ、もう押し倒しまくったらええんちゃう?)
(白石、お前、何を)
(あぁ〜ん!謙也きゅーん!)
(う、うわああ!)
(小春ー!浮気かー!)
(ああ、一氏くんこそ浮気やで、それー!)



END





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