05


「ユウジ先輩、最近変やないですか?」

「そそそ、そんなことないで」

「変やんけ」




放課後の部活。基礎練を終えた俺のところに財前が来て話しかけてきた。上原と付き合うとると知ったときから何か財前とも普段通りに出来ひんくなってもうた。俺どんだけ不器用やねん。



「そういえば、ユウジ先輩ってまゆさんの隣の席らしいっすね」

「あ、ああ、そうやけど」

「楽しそうに話してましたわ。なんやユウジ先輩のモノマネが好きらしいっすよ」

「そうなんか」



財前から上原の話を聞くのは、少し嫌だったけど、俺の話をしてたと聞くとホンマに嬉しかった。けど財前は自分の彼女から他の男の話を聞いても何とも思わんのやろか。仲良うしたってくださいね、なんて余裕な表情で言う財前がうらやましかったけどイラっとした。けど一番苛立ったんは、何も出来ひんくせに一丁前に人を妬むことだけはできる自分自身だった。





「俺、財前みたいになりたい」

「なんやねん、いきなり」



部活が終わって、部誌の担当やから残って書いてるときに、同じように残っていた小石川に向かってつぶやいた。




「財前は年下やのに落ち着いてるし、天才って言われるぐらいテニスがうまいし、いっつも余裕あるし。かっこええし、モテるし?」

「まぁ、そうやな。財前はいるだけで存在感あるしええよな」

「お前と違ってな」

「うるさいわ」



ホンマ財前みたいになりたい。財前やったら、今の俺の状況になったときでもきっとうまくやっていくんやろな。



「でも、俺には財前は自分に自信がないように見えるわ」

「へ?」

「っていうか自分に自信あるやつなんて、そうおれへんやろ」

「そうかもしれんけど」

「財前は、財前なりに悩みもあると思うで」



小石川って普段ホンマ存在感ないけど、意外にちゃんと部員のこと見てんのやな。ちょっと見直したわ、そう言ったら一言余計やと言われた。何かいつも小春にしか相談してへんかったから、小春以外に相談するのも新鮮でええな。また違った意見聞けるし。かといって小春から離れるわけちゃうけど。



「おおきにな、小石川。ほな俺、帰るわ」

「気ぃつけて帰りや」






(ユウジも悩むんやな)
(白石。まだおったんか)
(財前にもユウジにも幸せになってほしいなんて、俺もないものねだりやな)
(それは俺もや、白石)




END

部員思いな部長と副部長





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