04

上原が財前の彼女やって知ってから数日が経った。だけど別に何かが変わるわけやない。今まで通りや。俺以外は。



「ユウくん、もう休み時間終わるでー」

「小春と離れたないんや」

「またそないなこと言うて」



だってしゃあないやん。財前の彼女やから好きになったらあかんねん。そう思ってるのに、好きという気持ちがなくせれへんねん。好きやと思ってしまうねん。


「ほな正々堂々戦ったらええやない」

「勝ち目ないやん。俺が財前になんて」

「一氏なだけにうじうじしおって!」

「なっ、小春!?」



ほら、シッシッと小春に手を払われ、俺は仕方なく席に戻った。上原は小春ちゃんと喧嘩?とか聞いて来た。喧嘩ちゃう。お前のことでうじうじしとる俺が悪かっただけや。なんて言えるわけもなく、そんなんちゃうわとしか言い返せれなかった。



「一氏くんと小春ちゃんって本当に仲ええよな。うらやましい」

「あ、当たり前やろ!俺と小春は最高のペアなんやから」

「せやったね」



ほんとええなぁー、なんて呟く上原は、また寂しそうな笑顔をつくる。なんでそんな顔するねん。財前がおるやんけ。


「ざ、財前がおるやん」

「光くんね。でも光くんはたぶんそうは思ってへんから」

「は?」



どういうことやねん、それ。それじゃ財前は上原のことが別に好きとかやないってことなんか?ありえへん。謙也から聞いたところによると財前から告白したらしいやん。財前は絶対に好きやないと告白なんてしたりせえへん。



「財前だってそうやと思ってるはずやで」

「そうかな?そうだとええけど」



そう言ってまたあの笑い方をする上原を見て、胸が苦しくなった。







(幸せを願うなら)
(好きになったらあかん)



END





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