03 居残りの座席表作りが終わって、マサムネのとこに渡しに行ったら、アイツもうおらへんかった。なんっちゅー奴やねん。人に頼んでおいて自分は部活行くとか、ホンマうっとうしいやっちゃな!あのマサムネは、サッカー部顧問。部活中はサッカーの鬼らしい。サッカー部の奴が言うとった。とりあえず机に置いておいて、俺と上原はテニスコートへ向かった。 「間近でテニスが見れるんやー。なんか緊張」 「別に緊張することあらへんやろ」 何を緊張することがあんねん、と思いながらコートに到着した。座席表作り終わったん、と白石が近づいて来よった。 「あれ?珍しいこともあるんやな。ユウジが女連れてくるなんて」 「あ、えっと、はじめまして。一氏くんと同じクラスの上原まゆです。白石くんだよね?」 「白石蔵ノ介や。よろしゅう」 なんて爽やかに自己紹介した白石。どうやら上原と白石は初対面らしい。白石なら学年ほとんどの女子から告白されてそうやのに。 「あれっ、上原やん!何でおんねん」 「忍足くん!ちょっとテニス部見学に」 「謙也、お前知り合いなんか?」 「去年同じクラスやってん」 知らんかった。去年同じクラスやったんや、謙也って。親しそうにしているところから、割と仲が良かったように見える。謙也は、それにと続けようとしたところでまゆさん?という財前が顔をしかめながら来た。 「何してはるんすか」 「光くん!」 「は?」 ざざざざ財前!お前、どういう関係やねん!何で名前で呼び合ってんねん!二人は知り合いなん?とか白石が普通に聞いたら、彼女っすわ、と財前が言うた。え、今なんて?彼女?そうかー。やからそんな名前で呼び合って、へーそうなんや。 「ええぇぇええぇ!?」 「お前、彼女おったんか」 「確か付き合って3ヶ月くらいやんな」 「謙也さんにしか言うとりませんでしたから」 嘘やろ……。彼氏おったなんて。じゃあ無条件で失恋やん。初めて好きやと思える女が出来て、ちょっといい感じちゃうんか、とか思ってた自分が恥ずかしすぎる。アホすぎや、俺。 初恋は実らないと誰かが言っていた (だけど幸せそうに見えないのは) (なぜだろうか) |