02


「吾輩は猫である。名前はポチです」

「アホー!勝手に名前つけんな、一氏」

「名前はあったほうがええやんけ!」





国語の時間。当てられた俺は教科書を朗読する。勝手に猫に名前つけたら先生に怒られた。ええやんけ、別に。まぁ、おかげで笑いはとったけどな。笑かしたモン勝ちや!隣の席の上原も笑っとった。それは普通にでた笑いで、なんや普通に笑えるやん。




「一氏くんって本当におもしろいよね」

「当たり前や。それが俺の生きがいやからな」

「前もお笑いライブ行かしてもろたけど、ホンマおもろかった!」




あの時のことやろうか、何があったとか聞きたいけど、聞ける立場ちゃうし、聞いてもどうすることもできひんから、俺よりおもろい奴なんておらんやろうなって言うたった。



帰りのHR。早よ部活行って、小春と新たなお笑いテニスを開拓したいなー、なんて思ってる俺に担任、鬼頭政宗(通称マサムネ、数学教師28歳)が一氏と上原はこの後座席表作りな、って。




「はぁ!?」

「なんや、文句あるんか?」

「ありまくりや!俺部活や」

「大丈夫や。オサムには許可とっとるわ。ほな、頼んだで」

「やらせる気満々やないか!」



このマサムネとオサムちゃんは割りと仲良いらしい。お互い若いしな。最悪や、ほんまに。行けれへんとなると行きたくなるっちゅーのが人間の性で。部活に行きたくなってきた。HRが終わって、小春がほな頑張ってやユウくん、と超笑顔で教室を出て行ったのを小春〜と見届けてから、座った。




「一氏くん。私、一人でやっとくし、部活行ってもええよ?」

「は?あかんやろ、そんなん」

「でも、部活行きたいんやないの?」

「お前一人にやらせて部活行くわけに行かんやろ!俺も頼まれたんやし」

「そっか。じゃあやろ」




テキパキと上原は紙に名前を記入していく。綺麗な字やな。書いてるその手、綺麗な横顔、見てるだけでなぜかドキドキした。




「何かついてる?」

「あ、いや、なんもついてへんわ」

「そう?」

「お、お前は部活とかやってへんの?」

「あー、部活?一応やってるけど、活動はそんなにしてへん」

「何部なん?」

「書道部」

「書道部!?そんなんあったか?」

「あったでー」




どうやら上原は部活に入る気はなかったが、どこかに所属しとらなあかんから、一番楽そうな書道部に入ったらしい。どないな理由やねん。でも綺麗な字を見て、書道部っちゅーのに納得した。




「それに、書道室からテニスコート、よう見えんねんで?」

「え?」

「だから一氏くんとかがテニスしとるのたまに見てんねん」

「す、ストーカーか!」

「あは、そうかも」




な、なんやねんこれ!反則やろ!顔が一気に熱くなる。アカン。目合わせられへん。上原はテニス部楽しそうやんねー、と言ってまた座席表作りを始めた。




「なら、見に来る?」

「え?」

「楽しそうやな、思うんなら見に来たらええやん」

「え、でも私なんかが行ってええんかな」

「俺が言うのもおかしいけど個性的な奴ばっかやからおもろいで」

「ほな行ってみたい!」





君が笑ってくれるのなら、部活でもなんでも間近で見たらええ。でもこの行動が裏目にでるなんて思ってもいなかった。






(よっしゃ!終わったで!)
(一氏くん、漢字間違えてる)
(……最悪や)






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