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3月。卒業式を迎える。


「小春〜!離れとうない」

「離れろや一氏ぃ!」

「卒業なんてしたないー!」

「うっとうしいわ!あ、蔵リーン!」

「うわぁああ!小春、浮気か!死なすど!」

「浮気してんの、アンタやろ、一氏ぃ!まゆちゃん!ユウくん浮気してんで」

「あーあ、ユウジくん最低」

「浮気ちゃうわ!」

「お前らこないな日までうるさいやっちゃな」

「白石くん」


卒業式が終わって、HRが終わってから、俺らテニス部は集まった。一緒に行きたいという上原を連れて。部室はすでにギャーギャー謙也が騒いどった。これも今日で最後や。小春と白石は同じ高校で。俺と謙也と千歳が同じ高校で。小石川と銀が同じ高校になった。


「何や、卒業っちゅーからもっとしんみりしたもんかと思っとったけど、そんなんちゃうんやなぁ」

「あっらぁーん?金太郎さん、大人になったんちゃう?」

「ワイかて次、中2なんやで!?もう子供扱いせんといてや」


ふんっと腰に手を当てながら言う金ちゃん。俺らが引退して、どうなるかと思ったけど、金ちゃんは金ちゃんなりにいつも頑張ってた。


「金ちゃん」

「しらいし」

「今の金ちゃんにやったら、この四天宝寺をまかせられるな。これからも頑張りや」

「ううっ、しらいしー!やっぱワイ離れとうないー!嫌やー!卒業なんてせんといてや」


白石の言葉に泣きじゃくる金ちゃん。そんな金ちゃんにつられて泣く謙也。ほんまアホやな。変わらないな、この部活は。


「財前。財前もよろしゅうな」

「先輩らが出来なかった全国優勝。来年するんで、暇やったら見に来たらええやないですか」

「お前は最後まで偉そうやな」

「ユウジ先輩。当たり前でしょ。先輩らがダサいんすわ」


でも、財前なら全国優勝、やってくれるって信じとる。白石がそう言うと、財前は少し顔を歪めた。ホンマは寂しいんやろな。可愛い奴やな。


「あ、せや。まゆさん。ユウジ先輩が嫌になったら、いつでも俺のとこ戻ってきてくれてええですからね」

「はぁ!?」

「あは、ありがとう」

「えぇ!?」

「先輩、キモいっすわ」

「何やて!?」


ギャーギャーキレる俺に、財前は鼻で笑いよった。最後まで皆、今までどおりで楽しい奴らで、コイツらと出会えてよかったわ。部室を出て、桜が咲き始めた校門をくぐる。


「もう卒業やね」

「せやな」


隣で桜を見ながら歩く上原の手を握った。


「ユウジくん?」

「その、えっと、高校行ってもよろしくな、まゆ」

「うん!」


春からはまた新しい生活が始まる。

それでも、君を幸せにすることには変わりないから。




Clover

(先輩ら、何ラブラブしとるんすか)
(二人の世界には入らせんっちゅー話や)
(ワイも仲間にいれてえや!)
(邪魔すんなや!死なすど!)




END


Cloverはクローバーでもシーラバーでもどちらの読み方でも大丈夫です。一応これにて完結です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

2011.12.28 ちょこ





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