30 3月。卒業式を迎える。 「小春〜!離れとうない」 「離れろや一氏ぃ!」 「卒業なんてしたないー!」 「うっとうしいわ!あ、蔵リーン!」 「うわぁああ!小春、浮気か!死なすど!」 「浮気してんの、アンタやろ、一氏ぃ!まゆちゃん!ユウくん浮気してんで」 「あーあ、ユウジくん最低」 「浮気ちゃうわ!」 「お前らこないな日までうるさいやっちゃな」 「白石くん」 卒業式が終わって、HRが終わってから、俺らテニス部は集まった。一緒に行きたいという上原を連れて。部室はすでにギャーギャー謙也が騒いどった。これも今日で最後や。小春と白石は同じ高校で。俺と謙也と千歳が同じ高校で。小石川と銀が同じ高校になった。 「何や、卒業っちゅーからもっとしんみりしたもんかと思っとったけど、そんなんちゃうんやなぁ」 「あっらぁーん?金太郎さん、大人になったんちゃう?」 「ワイかて次、中2なんやで!?もう子供扱いせんといてや」 ふんっと腰に手を当てながら言う金ちゃん。俺らが引退して、どうなるかと思ったけど、金ちゃんは金ちゃんなりにいつも頑張ってた。 「金ちゃん」 「しらいし」 「今の金ちゃんにやったら、この四天宝寺をまかせられるな。これからも頑張りや」 「ううっ、しらいしー!やっぱワイ離れとうないー!嫌やー!卒業なんてせんといてや」 白石の言葉に泣きじゃくる金ちゃん。そんな金ちゃんにつられて泣く謙也。ほんまアホやな。変わらないな、この部活は。 「財前。財前もよろしゅうな」 「先輩らが出来なかった全国優勝。来年するんで、暇やったら見に来たらええやないですか」 「お前は最後まで偉そうやな」 「ユウジ先輩。当たり前でしょ。先輩らがダサいんすわ」 でも、財前なら全国優勝、やってくれるって信じとる。白石がそう言うと、財前は少し顔を歪めた。ホンマは寂しいんやろな。可愛い奴やな。 「あ、せや。まゆさん。ユウジ先輩が嫌になったら、いつでも俺のとこ戻ってきてくれてええですからね」 「はぁ!?」 「あは、ありがとう」 「えぇ!?」 「先輩、キモいっすわ」 「何やて!?」 ギャーギャーキレる俺に、財前は鼻で笑いよった。最後まで皆、今までどおりで楽しい奴らで、コイツらと出会えてよかったわ。部室を出て、桜が咲き始めた校門をくぐる。 「もう卒業やね」 「せやな」 隣で桜を見ながら歩く上原の手を握った。 「ユウジくん?」 「その、えっと、高校行ってもよろしくな、まゆ」 「うん!」 春からはまた新しい生活が始まる。 それでも、君を幸せにすることには変わりないから。 Clover (先輩ら、何ラブラブしとるんすか) (二人の世界には入らせんっちゅー話や) (ワイも仲間にいれてえや!) (邪魔すんなや!死なすど!) END Cloverはクローバーでもシーラバーでもどちらの読み方でも大丈夫です。一応これにて完結です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 2011.12.28 ちょこ |