29 「別れたって、は!?」 裏庭で上原と二人で話す。どうやら全国大会前に財前に振られたらしい。 「そうやったんか」 「うん」 「知らんかった」 「誰にも言うてなかったから」 「そうなんや」 「うん。そういえば、ユウジくんの話って何?」 にこっとしながら聞いてくる上原。ああ、そうか。これから俺が言おうとしていることも、わかってんねんな。敵わない、コイツには。俺は小さく深呼吸してから、好きや、と言った。 「上原が好きやねん。初めて隣の席になったときからずっと」 案外、口にしてしまえば簡単やった。でも、言ったあとはホンマにドキドキで、告白ってこういうことやねんな、と思った。 「私も、ユウジくんが好きです」 優しく笑いながら言う上原を一生離したくないと思った。 「俺と付き合うてくれますか?」 「はい!」 人を好きになったのも初めてで、付き合うのも初めてで、何もわからないけど、でもただひとつ言えるのは、上原が好きという気持ちは誰にも負けへんということ。財前にもそれだけは絶対に負けへん。俺は上原を優しく抱きしめた。 誰にも負けない、好きという気持ち (あ、そういえばこの間ね、光くんにお土産もらったんだ) (何の?) (じゃじゃん!ユウジくんの寝顔写真) (なっ!財前のどアホ!) END |