01 人生とはうまくいかないものである。 たかだか中3の俺が何言うてんねん、と思うが今まさにその状況。3年になって初めての席替え。最初は番号順やったから小春とは隣にはなれんくて、今度こそという思いでくじを引いたら窓際一番前。小春は廊下側一番後ろ。離れてるにもほどがあるやろ!しかも次の席替えが2学期までないから、1学期中はこの席でおらなアカン。最悪や。 「しかもいっちゃん前やで!?ありえへんわ、ホンマ」 休み時間。小春の席でそう愚痴をこぼすと、小春はでも隣がまゆちゃんやないのーと言うた。まゆというのは、上原まゆ。3年になって初めて同じクラスになった奴。しゃべったことだってたいしてないし、3年になって初めて存在を知ったぐらいの関係。でも俺はそんな上原が最近気になって仕方なかった。 「ユウくんが恋してくれて助かるわー」 「な、べ、べつに恋とか、そういうんちゃうわ」 「ちゃうの?でも気になるんやろ?」 「そ、そうやけど…」 恋とかそういうんちゃう。っていうか恋なんて今までしたことなかったし、小春以外の女には興味なかった。女なんて媚びた声だしたり、頼んでもないのに食い物作ってきたりたいして俺のこと知りもしないくせに告白してきよったり、しかも振ったら泣くし、きしょいしめんどくさいねん。でも、上原は違う。 俺が上原を気になり始めたのは、4月のお笑いライブのとき。みんな大爆笑しているなか、一人泣きながら笑いよったのが上原やった。涙がでるほど笑うとはまた訳が違うような気がして、それから上原のことが気になりだした。教室におる上原は明るくて元気。でもそれがなぜか作り笑いに見えて仕方なかった。 「笑ってほしいだけやねん、アイツに」 「それが、好きってことやと思うで」 上原の笑顔が見たい。笑顔でいてほしい。何を抱えてるんかは知らんけど、お願いやから笑ってや。 君の笑顔が見たいだけ (よろしくね、一氏くん) (ああ、うん。よろしゅう) END |