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終業式が終わって、次の日。午前中だけ部活の光くんと、午後に待ち合わせをした。久しぶりに光くんとデートをする。待ち合わせ場所に向かうと光くんはすでに来ていて、壁にもたれて待っていてくれた。


「ごめんね、光くん。待った?」

「今、来たとこっすわ」

「そっか。良かった。どこ行く?」

「俺、行きたい店あるんすけど、ええですか?」


光くんのことやから、CDショップやろうと思ったけど、そうではなくて。着いたのはスポーツショップやった。新しいシューズとグリップがほしいらしい。そっか。もうすぐ関西大会やもんな。


「すいません。俺の買い物に付き合わせちゃって」

「ううん。光くんがスポーツショップ行くのとか初めて見たから、新鮮やったし」

「でもつまらんかったんちゃいます?」

「全然!楽しかったで」


本当は、ユウジくんもこうやってテニスグッズを買うたりするんやろうか、と考えてたなんて言えるわけもなく、私はへらっと笑った。こんな気持ちで光くんといるなんて、最低だ。


「まゆさん」

「何?」

「寄りたいとこあるんです。着いてきてもろてええですか?」


光くんのその言葉に、私は頷いた。光くんに着いて行くこと数分、学校の近くの小さな公園に辿り着いた。ここは、光くんが私に告白してくれた場所だ。


「ここ、覚えてます?」

「告白…してくれた場所やんね?」

「そうです。覚えてくれてたんですね」

「うん」

「始まりもここなら、終わりもここのがええと思って来たんです」

「え?」

「別れましょ。まゆさん、ユウジ先輩のこと好きなんやろ?」


私は何も言えなかった。いつから私がユウジくんのこと好きやって、気付いてたんだろう。気付いてたのに、私と付き合ってくれてたんやろか。


「気付いてたん?」

「なんとなく気付いてましたけど、この前ユウジ先輩が熱で倒れたときに確信しました」

「そうやったんや」


気付いてたのに、私は光くんを好きなフリし続けて、光くんはそれに付き合うてくれてたんやと思ったら、自分の最低さに腹が立った。


「でも、最後にひとつだけ、ワガママ聞いてもろてええですか?」

「うん」

「全国大会。ユウジ先輩でなく、俺のこと応援してくれません?まゆさんに応援してほしいんです」


お願いやから、と弱々しく言う光くんを初めて見た。もしかしたら光くんは不安なのかもしれない。3年生の強豪がいるなかで、2年生の自分がレギュラーで出ることに。そう思ったら、わかったと言うことしか出来なかった。


「全国大会、光くんのことだけ応援してるから」

「…ありがとうございます」





(そしてその1週間後)
(全国大会出場の知らせを聞いた)




END





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