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すーはーと深呼吸をひとつする。まだ教室にはちらほら生徒がおって、まさかそんな人がいるなかで告白できるわけもなく、俺と上原は裏庭へと足を進めた。裏庭は久しぶりに来た。告白とかしたことないから、どうしていいかわからず、とりあえず腰を下ろし、裏山を眺めた。


「もう部活も引退して、受験シーズンやなぁ」

「せやな」

「ユウジくんは、高校どこ行くん?」

「あー、四天宝寺高校かな。謙也がそこ行く言うとったし」

「小春ちゃんは?」

「小春はもっと頭のええ学校受ける言うとった。俺は学力的に無理やって担任に言われて諦めてん」

「あー、そうなんや」

「上原は?」

「まだ決めてないねん」


そう言って苦笑いをした上原。一緒の高校やったら良かったのに、と思ったけど、それは小春みたく、自分が決めることやから、俺がどうこう言う権利はない。


「ざ、財前は来年どこ受験するんやろうな!財前が来るとこがええんちゃう?」


我ながら何を聞いてんねん、と思った。何で今から告白しようとしてる相手の彼氏の話してんねやろ…。


「あー、光くん?どうやろ。たぶん四天宝寺高校ちゃうかな?近いとこしか行かんと思うし」

「確かに。財前めんどくさがりやからな」

「うん」


アカン。こっからどう切り返せばええねん!俺はアホか!アホやろ!そう思って、よし!と意気込もうとしたら、突然後ろから声が聞こえた。



「先輩ら、こんなとこで何やっとるんです?」

「ざ、財前!」

「光くん」

「えっと、これは、その、」

「ま、頑張ってください。俺に勝ったんやから、大切にせんかったら怒りますけどね」

「は?」

「光くん」

「はい」

「ありがとう」

「ほんま、敵いませんわ。まゆさんにもユウジ先輩にも」



どうやらボールを拾いに来たらしい財前は、意味不明な言葉を残すと去って行った。そしてそのあと上原が財前と別れたと言うた。






(別れたってどういうことやねん)
(振られたんだ)
(は?)



END





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