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風邪も治って、1週間。無事に大会も勝ち進み、終業式を迎えた。終業式を迎えたということは、今日でこの席も最後ということになる。あまりに早すぎる。こないに早く過ぎた2ヵ月はあったやろうか。眠い教頭の話を聞いてから、校長先生のおもろい話を聞いて、大阪府大会を優勝した俺らは檀上で表彰された。教室に戻ってHR。


「夏休みやからってハメ外すんやないでー。あと、熱中症には気ぃつけやー。そんでな登校日の日に席替えするからな、今日でこの席は最後や」

「席替えかー。ようやく一番前から解放されるわー」

「なんや上原は特別枠で一番前にしたろか?」

「うわ、遠慮します」


上原は席替えしたいんやろか。俺は席替えしたくない。席替えしたら上原と話す機会が少なくなる。同じクラスやし、アドレスも知ってても、メールなんて何送っていいかわからんし、わざわざしゃべりに行くことなんて出来ひん。一番前は嫌やし、小春とも近くの席になりたいけど、上原と離れるのはもっと嫌や。なんて、俺こないワガママやったっけ?


「ユウジくんは夏休み何するん?」

「え?あ、えーっと部活や」

「そっか!テニス部強いもんね!全国行ったら私、応援しに行こかなー」


東京行ってみたいし、なんて楽しそうに言う上原。勘違いしたらアカン。上原が好きなんは財前で、応援するのも財前のため。決して俺のためやない。上原は財前が好きやねん。


「ほなこれで解散や。いい夏休みを送りや」


先生のその言葉で、皆ガヤガヤと騒ぎだした。上原も、夏休みやー!とクラスの女子らと何か話していた。夏休みの予定やろうか。俺は小春の席に行き、小春と弁当を食べ始めた。夏休みに、上原に会うんは登校日だけや。それまで会えへん。そない当たり前のことがこんなに嫌やなんて。


「告白してまえばええのに」

「こ、告白て!」

「ユウくんって思った以上にヘタレやな。そんなんじゃまゆちゃんのハートはいつまでたっても光きゅんにしか向かへんで」

「せやかて小春、告白て!」


告白って!アイツは財前と付き合ってんねんぞ?それやのに告白って!当たって砕けろってことなんか!?俺にはそんな勇気ないねん。アカン。これじゃあ謙也以上のヘタレやんけ。せやな。小春の言う通りかもしれんな。このままじゃいつまでたっても俺の気持ちは知ってもらえへんわけで。だったらいっそのこと言うてしまったほうが楽なのかもしれんな。


「小春。俺、言うわ」

「何を?」

「告白。全国終わったら告白するわ」

「それでこそ、男前ユウくんや!ほな絶対全国行くで」

「おう!」





(俺は知らなかった)
(この時すでにアイツらに)
(変化が起こっていたことに)



END





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