22 「青少年たちぃー。起きんかい」 「んん…」 「んー」 目が覚めると保健室で、目の前に上原の顔があったからビックリした。でも、嬉しかった。やっぱり好きな人が近くにいてくれるというのは、嬉しいものやと思う。 「ユウジくん、おはよう」 「お、おはよう」 「具合いどう?」 「あーうん。良うなった気がする」 「そっか。よかった。うわ、もう放課後!?」 やばい帰らな、と言って上原は慌ただしく起きあがった。小春がどうやら俺と上原の鞄を持ってきてくれたらしい。小春ってほんま気が利く。やなくて! 「上原」 「ん?」 「その、ありがとう」 「へ?」 「ずっとおってくれたんやろ?」 「寝てただけやけどね」 「それでも、その、嬉しかったっちゅーか…」 「早よ良くなってな!無理したらアカンで、ユウジくん!ほな私帰ります。オサムちゃん、ありがとう」 「気ぃつけて帰りやー」 はぁー。あの笑顔は反則やろ。次々に欲がでてくる自分が嫌になる。もっと一緒におりたいとか、そばにおってほしいとか、触れたいとか、これは風邪のせいでもなんでもなく自分自身の問題や。少ししたら親が迎えに来て。このどアホ!と怒られた。何で風邪やのに怒られなアカンねん。帰りに病院寄って薬をもらい、食後にそれを飲んだらめっちゃ楽になった。 「お前が風邪引くなんてな!ダサいわ」 「うるさいわ!クソ兄貴!お前なんか風邪ひいて死んでまえ!」 「はいはい。早よ寝るんやでー」 俺ってどんだけ普段バカやと思われてんやろ。兄貴にまでバカにされた。ほんまうっとうしいわ。部屋に戻って、携帯を見たら、何通かメールが来とった。白石から、明日は無理せんでええからしっかり休めっちゅーメールや、小春からも同じようなメール。謙也からの風邪なんてださいっちゅー話やというメールには返信せんかった。上原からも無理しないで、というメールが来てて顔がニヤけるのがわかった。 人を好きになるってこういうこと (もし好きやというたら) (どんな反応するんやろ) END |