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「ぶえっくしゅん!」

「ユウくん風邪?」

「いや、風邪やないと思うんやけど。頭がぼーっとする」

「それが風邪やないん?」

「バカでも風邪引くんすね」

「財前。お前、死なすど」



朝練。昨日駅までは上原に入れてもろたけど、さすがに傘借りて帰るわけにもいかんし、家も全然ちゃう駅やから、地元駅からは一人で帰った。そのときに傘なかったから走って帰ったせいか、朝から頭がぼーっとしてくしゃみが止まらんかった。風邪なんて滅多に引かん俺やから、どんなんが風邪か全くわからへんかった。


「ユウジくん、おはよう」

「おはよ」

「ユウジくん。風邪とか引いてへん?大丈夫?」

「大丈夫や」


朝練が終わって、教室に戻ったら上原が心配して聞いてくれた。大丈夫やで、しか返すこともなく、だるい俺は椅子に座った。あー、ほんまだるい。何やこれ。動きたくないとか、俺としてはありえへん行動が起こる。


「ユウジくん、ほんまに大丈夫?顔赤いけど」

「大丈夫や、こんぐら…へっくしゅん!」

「それ絶対風邪やん!保健室行ったほうが」

「大丈夫やって。ほんまに」


へらへら笑ってみせたけど、上原は心配そうな顔をした。大丈夫やって。上原のせいちゃう。傘持ってなかった俺が悪いねんから。1限の休み時間。小春も心配して来てくれた。けど相手するような気力も残ってへんかった俺は、机に突っ伏したままやった。ついに完全に動くことが嫌になった2限の休み時間。移動教室のため、絶対に動かなあかん。自分を奮い立たせ、立ち上がった瞬間、ふらふらっとするのが自分でもわかった。ユウジくん!?という上原の声が遠くに聞こえた。






ぼーっとするなか、重たい瞼を開けると、そこには上原と小春がおった。


「んもう、ユウくん!無理したらアカンやないの!」

「よかったー」

「ん、ここどこ?」

「保健室やで。ユウくん倒れてんで?」

「あー、そうなんや」

「熱も9度以上あってな。今は8度代に下がったみたいやけど」

「一氏くん。親御さんにご連絡したところ、迎えが放課後になるらしいわ。だからそれまで保健室で休んどりなさい」


保健の先生はそう言うと、これから会議と出張で出かけなアカンらしい。けどその代わりにオサムちゃんが来るらしい。あんなん役立たずやろ。そう思ったけど、だるすぎて言う気力もなかった。





(おーおー風邪引くなんてバカやなかったんやなぁ、一氏ぃ)
(あー、うるさい)



END





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