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ほんまに敵わないと思う、この人には。


俺の目の前でアホみたいに小春先輩とラブルスをするユウジ先輩は、ほんまにお人好し。いっつもお笑いとか言って人を笑顔にしているところとか、ユウジ先輩やからできることなんやろうな。だから嫌いにもなれない。あないにユウジ先輩にキツい言葉かけたのに、ユウジ先輩は俺を追いかけて来て、まゆさんが好きやと俺に告げた。そのときのユウジ先輩は不覚にもかっこいいと思ってしまうほど真剣な目やった。


「ユウジと仲直りできたんやな」

「部長…。部長がユウジ先輩を向かわせたんすか?」

「さぁー?なんのことかわからへんわ」


部長はそう言いながら、俺の頭をぽんっと叩いてコートに入った。ほんまこの人にも敵わない。俺って恵まれてるのかもな、先輩に。


「光はん、今日は珍しくよう笑いよるな」

「師範…。別に。呆れてるだけっすわ」


ふっと笑い、手を合わせた師範は、ユウジ先輩と小春先輩と試合を始めた。波動球で吹っ飛ばされてるにも関わらず爆笑の二人はアホやと思った。


「なぁ、財前!ワイな、今日先生に褒められてんでー!」

「よかったやん」

「やろ?やろ?もっと言うてー」


たまに金ちゃんがうらやましくなる。誰からも憎まれへんやろ、こない可愛かったら。俺は愛想もないし、可愛げもない。


「財前!ダブルスしようや!」

「ええですけど、謙也さん足引っ張らんといて下さいよ」

「ほんまお前は生意気っちゅー話や」

「しかも相手が部長と千歳先輩とか、ほんま足引っ張らんといて下さいね」

「お前なぁ!」

「謙也、言われてったい」

「ほら、早ようやるで、財前」


相手が部長と千歳先輩ということもあり、俺と謙也さんは呆気なく負けた。


「完敗や!」

「謙也さん無駄に走ってましたよね」

「無駄って何や、無駄って!」

「痛っ!叩かんでもええやないですか」

「財前もうまくなったなぁ。なぁ、千歳」

「財前はやっぱ天才やねぇ。でもまだ負けてはやらんね」


俺は可愛げがない。金ちゃんに比べれば、可愛くない後輩やろう。でも、



「財前!次は勝つっちゅー話や」

「光くぅーん!今度は小春とダブルスしまひょ」

「こぉらぁー!浮気か!死なすどー!小春から離れろ、財前!」

「何や楽しそうやん!ワイも混ざるー!」


皆に愛されてると思う。





(少年たちぃー、何騒いどるん?)
(オサムちゃん)
(グラウンド50周)
(え?)
(早よ行かんかい)



END





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