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「小春!財前!」


俺の小春レーダーを発動させ、財前のもとに辿り着けた。財前は校舎裏の裏庭におった。


「ユウくん」

「すまん、小春。財前と二人で話がしたい」

「了解。あんま遅くなると蔵リン怒ってまうから気ぃつけや」

「おん」


財前は俺を睨んだまま、小春がおらんくなるのを確認して、財前に俺は上原が好きや、と言うた。謝るのは何だか違う気がして、せやったら俺が言うのは、この一言しかないって思った。


「遠慮せえ言うたやないですか」

「遠慮はもうせえへん。俺は上原が好き。それだけや」

「そんなこと言うためにわざわざ来たんすか?」

「あと新作モノマネや」

「は?」


俺は息をすうっと吸うと、ノースピードんのぉーライフっ、と謙也がこの間やっとった変な打ち方を真似して言ったった。ドヤ顔で。


「先輩、キモいっすわ」

「はぁ!?何やと!?」


財前が俺の横を通り過ぎていくときに微かに財前が笑っているのが見えた。ほんま可愛げのないやっちゃな。


「財前!今日ダブルスで対戦しようや」

「先輩ら、卑怯な手ばっか使うやないですか」

「お前、平然と返すやんけ!」

「シングルスならええですよ。ま、勝ち目ないと思いますけど」

「キィー!!ほんっま先輩を先輩と思えへんな、お前は!」


怒る俺を横目に、はいはい行きますよ、なんて落ち着いた態度でテニスコートへ向かいやがった。ホンマ財前は可愛い後輩やな。


「ざいぜーん!ユウジー!遅いでー!もう練習始まってんでー!」

「金ちゃん。すまんな」

「財前ばっかユウジに構われてずるいわ!ワイもかまってえや!」

「おー、ええでー。財前も金ちゃんもまとめて可愛がったるわ!」

「ちょ、何すんすか」


財前の首に腕をひっかけ、ぐいっと引っ張り、金ちゃんと肩を組む。財前も金ちゃんも、俺の大切で可愛い後輩や!


「よっしゃー!ほな今日もいくでー!」





(吹っ切れたみたいやな、ユウジも財前も)
(ふふ、蔵リンもね)



END





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