09


「いくで」

「よっしゃ!」

「「せーの!」」



中間テストが終わって翌日の1限目。ソッコーで返ってきたのが数学やった。俺と上原はせーのでテストの点数を見た。



「わ、」

「よっしゃー!小春ー!小春ー!57点やってー!初めて50点以上とったー!小春のおかげやー!小春〜」

「くっつくなや一氏ぃ!まゆちゃんはどうやったん?」

「やったよー、小春ちゃーん!51点やったー!ほんま嬉しい!ありがとう小春ちゃん!」

「よかったやないの、二人とも!」

「やったね、一氏くん!」

「やったな、上原」


イェーイなんてハイタッチしたところでマサムネに咳払いをされた。喜ぶくらいええやんけ。



「奇跡的に50点以上とれた二人はええとして」

「ええとすな!お前がやらせたんじゃ、ボケ!」

「やればできるんやから、次からもやれよ。ほな解説してくでー」



そういえばさっきなんか勢いでハイタッチしてもうたけど。上原に触れたのは初めてで。アカン。今になって恥ずかしなってきた。財前の彼女や、財前の彼女。アカン、アカン。



「ほんま50点以上なんて初めてや!これで携帯も復活やー」

「よかったな」

「うん!一氏くんもレギュラー落ちせんでよかったな」

「ほんまやって。アイツ変な脅ししてきよって」

「一氏くんもテニス上手やもんね!レギュラーから外されたら困るのテニス部のほうなんちゃう?」

「当たり前や」

「お前らうるさいわ。お前らみたいな出来ひん奴のために解説してやってんぞ?」

「へいへい」



うるさいねん。数学なんて出来んくても人生やっていけるっちゅーねん。そう言ったらマサムネにどアホ!と言われた。ほんまのことやねんからええやんけ。俺とマサムネが言い合いをしてたら、上原がそうだ!と声をだした。



「一氏くん、アドレス教えてよ」

「へ?」

「数学が50点以上とれた同志としてさ」

「あ、ああ、ええよ」

「ほー。よかったなぁ、一氏」

「なんやねん!何がよかったやねん!お前、教師やろうが!」

「青いな、一氏。若いってええなぁ」

「はぁ!?」



マサムネの言葉の意味をわかってんのか、わかってへんのか、上原はニコニコしながら赤外線の準備をしていた。なんやねん、その笑顔。





(好きになったらダメなのに)
(好きやと思ってしまう)



END





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