「花月、顔隠すな。ちゃんと見せろ。……これ、気持ちええか?」


 結城はそう言うとまた乳首に舌を這わせ、そしてもう片方の乳首を爪先で軽く刺激される。我慢しようとしても漏れてしまう声を、それでも必死で抑えながら、花月は応えた。


「ン……ッ、きもち、い」


 それを聞いた結城の顔が満足そうで、甘くて……花月は胸がいっぱいになる。


「ゆ、うき。結城、キスして」


 花月の懇願につい顔がニタリと緩んでしまう。花月は一度だって『キスして』などと言ってきたことがないのだ。彼がその行為をねだる時は必ず『チューして』と、そう言う。つまりは唇が触れ合うだけのそれじゃなく、舌を絡めてお互いの唾液がドロドロに混ざり合うような激しいものを花月は望んでいる。
 おずおずと差し出された両手に応えるように顔を寄せて、要望通り、そしてまた己の欲望のままに噛み付いた。
 ギュウっと抱きついてくる花月が可愛くて、結城はキスで翻弄したまま花月の下着の中に手を伸ばした。すでに熱を持ってやんわりと勃ち上がりかけている性器にそっと触れて撫でる。


「んんっ」


 ビクンと身体を震わせて、逃げるように下半身を捩るが、結城が逃がすはずもない。逆に強く握り込まれて、さらなる快感を与えられた。


「あっ……やぁ……!」

「嫌? 誘ったんはお前やろ」

「ん! あっ、あ」

「イキそうか? 自分で抜く時は先っぽいじったりするんか?」

「あ、あかんっ、それ、あ……っ!」


 イッてしまう、と感じた花月は両腕を交差させて咄嗟に顔を隠そうとした。それを見た結城が瞬時に花月を追い詰めていた手を放す。イク寸前のところで宙ぶらりんに放り出され、もどかしさがぐるぐると募る。イキたい。イかせて。触って。扱いて。
 花月は救いを求めるような目で結城を見つめた。


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