しばらく沈黙が続いて、どうしようかと焦ってたけれど、先生の方から話しかけてくれた。


「……じゃあ純くんは、彼女いるんですか?」

「いるわけねーじゃん。俺チビだから全くモテないしさ」

「気になる子とかは?」

「う〜ん……」


 俺は考え始めた。気になる子……3組の彩ちゃん、可愛いよなぁ。でも俺より背高いし……。5組の博美ちゃん! は俺より小さいけど、彼氏いたような……。2組の千穂ちゃんはちょっとがさつな感じだし……。
 俺は優しくて、気の利く先生みたいな子が……。……『先生みたいな』……? って先生は男じゃんか!! ないない。いくらキスしてるからって……『キス』……? そうだ、俺、先生とキスしてるんだよな……毎週……。


「……赤くなっちゃって、好きな子のことでも考えてるんですか?」

「好き!? 好きじゃねーよ!! 全っ然好きじゃねぇ! ありえねー!!」

「そんなにムキにならなくても」

「なってないっ!」


 俺が先生を好き!?
 ……ないない! だって男だし。年だって離れてるし、先生だし……。
 そりゃあ、優しいし? かっこいいし、頭もいい。背も高いし、声だって甘いし、キスも……上手だし。

 俺は、先生を見つめた。じっと、観察するように。前を向いて運転する様は、やっぱり格好よかった。


「……そんなに見られると、照れますね」


 赤信号で停車した先生が俺の方を向いた。それでも俺は先生を見つめることをやめなかった。
 吸い付けられるように見つめ続けた。先生の唇を。


「純くん……」


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