今週も金曜日がやってきた。今日もあいつにキスされるのかと思うと……思うと……? いや、考えるな! うん、考えない方がいい!
 自問自答の末、自己解決した俺は携帯を取り出した。授業中にこんなことをしてるから家庭教師なんかが来てしまったんだけど……。

 メールが来ていた。俺の頭の中を占拠している瀬尾先生から。
 文面はこうだ。

『今日、学校が終わったら勉強の前に少し出かけませんか?』

 嫌だ、とは思わない俺。なんでだ? なんてまた自問自答を始めちゃいけない気がして、何も考えず『いいよ』と返信した。


 放課後、正門の前に瀬尾先生の車が停まっていた。車のそばに立っている先生は女子から遠巻きに騒がれている。
 ……め、目立ってる……。


「純くん」

「う……っ」


 笑顔で手を振る先生。見つかってしまった俺はしぶしぶそばに寄る。こんなに女子から注目を集めてる人の隣にちんちくりんの俺が並ぶなんて……恥ずかしい。


「授業、お疲れさま」


 なんて言いながら、助手席のドアを開けてくれる。それが妙に様になっていて、格好良かった。俺を羨ましそうに見ている女子たちには、何でだかちょっと優越感を覚えた。

 先生も運転席に乗り、車は静かに走り出す。行き先を聞かれないということは、もう先生が決めているんだろう。


「純くんの制服姿初めて見ましたよ」

「そうだっけ?」


 そういや俺、いつも先生が来るまでに着替えてたっけな?


「私服も可愛いけど、制服も似合ってますね。すごく可愛い」

「だからぁ! 可愛いって言うなっ」


 あーあ……俺も先生みたいにカッコいいって思われてぇよ。


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