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しっかりと距離を保ちつつ尾けているとはいえ、どんどんと人気のない方へと進んでいく清次に焦るリン。ついには3人以外の人間は見当たらなくなってしまった。
「おい……清次さんって家に向かってねーんじゃね?」
「かもしんない。つーか、この先っつったら……」
そこでピタッと止まる清次の足。リンと狼はササッと物陰に隠れた。が、
「今日は何の遊びですかぃ? 若、リンさん」
……バレバレだった。
「え、えーっとぉ、探偵ごっこ! な! タロっ?」
「うんっ」
「……若、この先に何があるか、ご存じですかぃ?」
「あぁ、墓地だろ」
「墓地?」
「うん。うちの墓がある」
「ここで眠ってるのは、野田家の皆さんだけじゃないんでさぁ。俺の、妻と子供も眠ってんでさ」
「お前の……?」
「俺の昔話に付き合ってくれますかぃ?」
清次を挟み、3人で墓地に向かって歩き出す。清次は穏やかな表情をして話し始めた。
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