07
「太一、太一!」
「んー……」
「起きろって。太一!」
翌朝、ソファで眠った太一は幸介に乱暴に起こされた。幸介は太一が着させた寝間着ではなく、昨晩着ていた自分の服に着替えていた。
「……幸、介……?」
「俺ら遅刻するぞっ。生徒会!」
「今、何時?」
「12時半!」
ガバッと身体を起こした太一。時計を見ると確かに12時半を少し回っていた。生徒会は1時から。お風呂にも入っていない2人は間に合いそうになかった。
「起こしたからな! 俺は部屋に帰るぞ!」
「あ、うんっ」
幸介は小走りで太一の部屋を出て行った。 太一も焦ってシャワーを浴び、制服を着た。濡れた髪をタオルで雑に拭いて、そのまま急いで部屋を出た。
全力で走って生徒会室に着いたのは1時前。太一はなんとか間に合ったが、そこに幸介の姿はなかった。
「先輩、大丈夫すか? ワックス貸しましょうか?」
息を整えながら自分の席に座った太一に声を掛けたのは、今年度の生徒会唯一の2年生役員である冴島空牙だ。机の引き出しからワックスを取り出して、太一に差し出す。
「あぁ、ありがと」
手に取ったワックスを伸ばして髪に馴染ませ、ボサボサだった髪をセットする太一。それを呆れた顔で見ながら圭吾は口を開いた。
「幸介は遅刻か。……珍しいな」
「そうですね。寝坊だとは思えませんし、何かあったのかもしれません。電話をかけてみましょうか?」
「幸介ならすぐ来るよ」
髪をいじりながら、太一らしくない苛立った声でそう言った。
宗一郎が幸介を気にするのが、我慢ならなかったのだ。それはただの八つ当たりでしかないのだが。
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