04
その夜。リビングで本を読んでいた太一の部屋のインターホンが鳴った。部屋の外に繋がる受話器を取って、返事をする。
「はい」
『……俺。幸介』
「今、開ける」
受話器を置き、玄関へ向かった。幸介を中へ招き入れて、リビングのソファに座るように促す。
「いきなり来て悪いな」
「いいよ。幸介なら大歓迎」
リビングと対面式になっているキッチンで、紅茶を煎れながら応える太一。幸介が好きな茶葉、幸介が好きな甘さを、太一は熟知している。
「……なんかあった?」
太一は、生徒会室にいた時から様子のおかしい幸介を気遣って訊ねた。
「……いや。なんでもねーよ」
「……そっか」
「おぅ」
また沈黙になる2人。
煎れ終わった紅茶を幸介の前に置いて、太一もソファに座った。
「サンキュ。……やっぱお前が煎れたやつは美味いよ」
「なら、よかった」
「太一、お前まだセフレいっぱいいんの?」
なんの脈絡もなく、そんなことを言い出す幸介。太一は少し動揺はしたが、すぐに答えた。
「いるよ?」
……好きな子にこんなこと聞かれて肯定するとかさ……。今更だけど、俺って最低だな。
少し自己嫌悪に陥ったが、セックスをするだけの関係を持つ子は大勢とまではいかないが、数人いるのは確かである。
「じゃあさ、……俺を抱いてよ」
- 88 -
[*前] | [次#]
[戻る]