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「あーぁ、羨ましいなぁ〜。僕も儀式したくなっちゃう」
「だからお前らは儀式なんかしなくても公認だっつの」
悠仁と千秋の儀式から数日経ったある日、幸介と銀次は管理棟の生徒会室でくつろいでいた。
それと言うのも、最近の一般棟生徒会室は、圭吾が初めて指名した会長補佐とその友人達によって、すっかり騒がしい部屋になってしまったため、逃げてきたのである。
「あーぁ、は俺が言いたいぜ」
「そういえば銀ちゃん片想い中なんだよねっ? いい加減、相手教えてよっ」
「付き合えたら、な」
「勿体ぶりやがって……ま、その気持ち分からない訳じゃねぇけどな」
つい最近まで、銀次と同じく長い長い片想いをしていた幸介。その気持ちを自ら誰かに打ち明けることは最後までしなかった。
「幸介さー、そのいきなり素に戻るのやめてくんね?てか俺、最近ブリッコの方がしっくりくるぜ」
「あぁ、最近こっちになること少ねぇしな」
「そういやうちの集会減ったよなー」
「ま、うちの総長もお前と同じで、奮闘中ってこった」
「あれって本気な訳?」
「本気も本気。あのプライドの高い俺様が」
「あんな難攻不落な奴をなー。ライバルも多いし……そう考えたら俺ってまだマシかも」
コーヒーを飲みながら、しみじみと呟く銀次。それを聞いて幸介は笑った。
「ついに役員全員の脳内がピンクに犯されちまったな」
「一番ピンクなお前が言うな」
「バーカ。一番は俺じゃねぇよ。あっちの屋上にいる奴だ。自覚はねぇけど」
「そりゃ確かに」
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