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 集会が始まると、親衛隊隊長が隊員の前に立って司会を務め、対象となる人物はその隣に座って、見せ物みたいになり、会は進行されていく。
 そして、抽選で10名までが、握手までの接触、または質問を1つする権利を与えられる。今回の悠仁の集会では、握手を求める者が6名、質問をする者が4名だった。

 質問をした場合には、隊員は全員、質問内容と返答をメモにとっていた。もっとも、悠仁の場合は答えが短いため、必死にメモする生徒はいないが、サービス精神旺盛な坂元先輩などの集会は、まるで有名進学塾のような光景になるらしい。


「では、最後に悠仁様からのご希望により、儀式を始めたいと思います。全員、立ってください」


 隊員が全員立つと、悠仁も立ち上がり、大教室から出た。


「いよいよ、だな」

「……はい」


 しばらくして、生徒会室の扉が開いた。


「チアキ……」


 悠仁が生徒会室に入って俺を呼ぶ。少し強張った顔を向けてしまう。


「儀式……はじまる……」

「……うん」

「そんなビビんなくても大丈夫だよ。すぐ終わる」

「はい。ありがとうございました」

「銀さん……ありがと……」

「おう。行ってら〜」


 俺達は手を繋いで生徒会室を出て、大教室へと向かった。
 大教室に入る前に、繋いだ手を解こうとしたが、悠仁はさらに俺の手を強く握り、それを許さなかった。


「おまたせ……」


 入室した俺達に視線が集まる。特に、繋がった手に。
 それも当然だ。この場にいる人達は、月に1度、抽選で選ばれた時だけしか悠仁の手に触れることなんてできない。一瞬ではなく、ずっと手を繋がれている俺を妬まない人なんて、この場にはいないんだ。


「それでは改めまして、儀式を始めます」


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