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管理棟の生徒会室に役員の3人と一緒に入った。普段から悠仁といるけど、生徒会室は違った緊張があった。
うわわわ……生徒会勢ぞろいだ……!
生徒会室に入ると、桜井会長が座っている机の目の前に立たされた。桜井会長の斜め後ろには大木先輩が立っている。寺門先輩と坂元先輩は、少し離れた場所にあるソファに腰掛けている。
緊張しまくっている俺にとっての唯一の救いは、悠仁が隣で一緒に立っていてくれていることだけだった。
そんな中、俺が最も緊張している原因である桜井会長が話し始めた。
「安藤君、うちのぼーちゃんのせいで危険な目に合わせてすまなかった。処分を決めなければならないから、事情を聞かせてもらえるかな?」
ぼ、ぼーちゃん? 悠仁ってぼーちゃんって呼ばれてるの?
いきなり"桜井圭吾"から発せられたとは思えない悠仁のあだ名に驚く。
「は、はい! でもあの、俺……じゃなくて僕、あまり状況を把握できてなかったというか……」
かなり緊張して、喋るだけでおたおたしてしまっている俺に、坂元先輩が声を掛けてくれる。
「ちーちゃん! そんなに緊張しなくていいよっ。分かるだけでいいから。ねっ?」
ちちちちーちゃん? って俺!?
なんであだ名!?
驚いたが、そのおかげで少し緊張が和らいだ俺は、思い出しながらゆっくりと事の経緯を話し始めた。
「あ、はい。あの……俺、3時間目の前の休み時間に屋上へ行ったんです。それで、鍵を開けようとしたら、急に後ろから口を塞がれて……たぶん薬かなにかを嗅がされて……気が付いたときにはあの体育倉庫で縛られてました。そのあとは、あの可愛い人と話をしてただけです。何もされていません」
「そうか。わかった。未遂ということなら、俺は2週間の停学処分を下そうと思うが、君はどう思う?」
本当に何もされていない俺は、その処分には反対であった。
「重すぎませんか? 注意とかで……」
「だめ……全員やめさせてよ……」
「……えぇ!? いやいや、そんなのやりすぎだよ!」
言い争いが始まりそうな俺達に対し、桜井会長はまた新たな処分を提案する。
「じゃあ、30日までの謹慎。これでいいだろう?」
「それでよろしいのでは?」
「そうだねー! 29日が過ぎれば大人しくするしかないんだしっ。ひーちゃん儀式するつもりなんでしょっ?」
その処分に大木先輩と坂元先輩が賛同した。
「うん……する」
「僕もしちゃおっかなーっ?」
「お前らはもう公認みてーなもんじゃん! 羨ましいぜ。俺も付き合いてぇー!!」
「バカとブリッコ、うるさい。安藤君、うちのぼーちゃんが儀式をしたいそうだが、君も了承しているのか?」
「いや、あの……その『儀式』って一体何なんですか?」
この質問すんの、何回目?
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