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「……させないよ」
……ああ。来てくれたんだ……。
命令を受けた生徒たちが俺に襲いかかろうと近づいてきたその時、現れたのは、この問題の渦中の人物、悠仁だった。
「ひっ、悠仁様!?」
「大丈夫……? チアキ」
「なんでここに?」
「探した……」
「なんで俺が捕まってること分かったの?」
「鍵……」
あれ、俺の鍵。屋上のドアノブにささったままだったんだ。
悠仁は俺に向けていた意識を、俺の一番近くにいたリーダー格の生徒に向ける。
「なぁ、なにしてんの……?」
「あ、あのっ僕……っ」
「お前ら、どうなるか分かってるだろうな……?」
悠仁が現れてから、固まっていたゴツイ生徒たちが、悠仁の脅しに慌て始めた。
「全員ここをやめさせてやる……」
そんなっ、それはさすがにやりすぎ!
「悠仁! 俺なんもされてないから!」
てゆーか、いつもとキャラが違うよ! いつもはもっとゆったり喋るじゃん。
「されてんだろ……」
「されてない! 捕まってるだけで」
「されてんじゃねぇか……。お前ら退学する前に殺す……」
悠仁は完全にキレていた。普段より随分と低い声で、しかもしっかりと文章で喋っている。
てか、……喋れるんだ。もはやこの人誰だ?
「ひーちゃん、落ち着きなさーいっ」
「なーにキレてんだよ。目イっちゃってんぞ?」
そこに今度現れたのは、生徒会役員の坂元先輩と寺門先輩だった。場の空気に似合わない間延びした口調と軽口が、なんか安心を与えてくれた。
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