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「……う、痛い……」


 頭の痛みでおぼろげながら意識を取り戻した。自分の置かれている状況を把握しようと、周りを見回す。

 ここ……どこ……?
 手足を縛られてる……親衛隊……いや、違う……? 悠仁の親衛隊にこんなゴツイ人たちはいないはず……。
 まだ状況を把握しきっていない内に、ゴツイ生徒たちの後ろから、小さな可愛らしい生徒が現れた。


「やっと起きたね。安藤千秋。1人になるのを待ってたよ」

「……誰ですか?」


 ちっちゃくて可愛い人だなぁ。女の子みたい。この人がこの中のリーダーか。やっぱり悠仁の親衛隊だ。力のある人たちに攻撃させるのか……。
 やっと自分の置かれている状況を理解した。


「誰だっていいでしょ! とにかく29日までにアンタを潰さないといけないの」


 29日?
 悠仁も言ってた……なにがあるんだ?


「儀式をされる前に、退学させてやる」


 ……『儀式』……?


「儀式……って何ですか?」

「あんた、知らないの?」

「……知りません」

「そう。教えてなんかやらないけどねっ。どうせあんたはこの学校をやめるんだから!」

「あ、じゃあ儀式のことはいいんで、29日になにがあるのか教えて下さい」


 ……できるだけ話を長引かせないと。俺がいないのに晴太や神楽坂が気づいてくれてるはず……。きっと探しに来てくれる。
 それまでこの人と話を……。


「29日は悠仁様の集会があるの」

「……集会」

「そう、月に1回だけ親衛隊が悠仁様とお近づきになれる大切なものなの。その場で儀式なんて」


 また出た『儀式』。なんなんだ?


「とにかくあんたには集会までに消えてもらうよ! みんな早くこいつヤっちゃってよ!」


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