11
「……う、痛い……」
頭の痛みでおぼろげながら意識を取り戻した。自分の置かれている状況を把握しようと、周りを見回す。
ここ……どこ……?
手足を縛られてる……親衛隊……いや、違う……? 悠仁の親衛隊にこんなゴツイ人たちはいないはず……。
まだ状況を把握しきっていない内に、ゴツイ生徒たちの後ろから、小さな可愛らしい生徒が現れた。
「やっと起きたね。安藤千秋。1人になるのを待ってたよ」
「……誰ですか?」
ちっちゃくて可愛い人だなぁ。女の子みたい。この人がこの中のリーダーか。やっぱり悠仁の親衛隊だ。力のある人たちに攻撃させるのか……。
やっと自分の置かれている状況を理解した。
「誰だっていいでしょ! とにかく29日までにアンタを潰さないといけないの」
29日?
悠仁も言ってた……なにがあるんだ?
「儀式をされる前に、退学させてやる」
……『儀式』……?
「儀式……って何ですか?」
「あんた、知らないの?」
「……知りません」
「そう。教えてなんかやらないけどねっ。どうせあんたはこの学校をやめるんだから!」
「あ、じゃあ儀式のことはいいんで、29日になにがあるのか教えて下さい」
……できるだけ話を長引かせないと。俺がいないのに晴太や神楽坂が気づいてくれてるはず……。きっと探しに来てくれる。
それまでこの人と話を……。
「29日は悠仁様の集会があるの」
「……集会」
「そう、月に1回だけ親衛隊が悠仁様とお近づきになれる大切なものなの。その場で儀式なんて」
また出た『儀式』。なんなんだ?
「とにかくあんたには集会までに消えてもらうよ! みんな早くこいつヤっちゃってよ!」
- 63 -
[*前] | [次#]
[戻る]