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「つまりだな、千秋といるときだけは神宮寺先輩がいつもより喋るし、表情も変わる。だから親衛隊も今は物珍しくて千秋に手を出さずに見てるんだろう。ただ、たぶんそれも今だけだ。そのうち嫉妬だとかで攻撃してくる奴も出てくる。1人にならないように心がけるんだぞ」
「……うん、わかった」
「トイレだろうと、俺に声をかけろ。晴太と2人でも駄目だからな」
「うん。ありがとね、神楽坂」
俺、やっぱ迷惑かけちゃってる。
このままだと、家族にも……?
「まぁ、もう少しの辛抱だと思うよ。神宮寺先輩もそれまでは、今みたいにずっと一緒にいてくれるよ!」
「どういうこと?」
「お前はなにも心配することはないってことだ」
……わかんないんだけど。明日、悠仁に聞いてみよう。
次の日、屋上へ出た俺は早速、晴太たちに言われたことを悠仁に聞いてみた。
「……って晴太達が言ってたんだけど、どういうことか分かります?」
「あー……うん。チアキ、29日……ヒマ……?」
え。話変わってんじゃん!
29日……来週か。その日は昭和の日で休みだよな?
「うん、なんもないけど……」
「じゃあ……ちょっとつきあって……」
「いいですよ。なんかあるんですか?」
「うん、ちょっと……昼に迎えにいく」
結局、なにがなんだか分からないまま、この話題は終わってしまった。
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