07
「つなご……」
俺の願いも空しく、悠仁は笑顔で答えた。
でたっ、その笑顔! その顔で言われたらなんか断れないし……。
ていうか、なんか静かになった? さっきまであんなに騒がしかったのに。俺が抱きしめられた時なんか、まさに阿鼻叫喚って言葉が頭に浮かんだくらいだったのに。
みんなポカーンとした顔しちゃって……。うわ、晴太の顔最高に笑える。
「チアキ……行こ……」
「あ、うん!」
なんか……みんな変なの。なにかに驚いてるみたいだけど……、怒ってたのはなくなったみたい。
……なに?
全く状況を把握できないまま、俺は悠仁と仲良く手を繋いで、教室を出た。そして、屋上に出ると、まず最初に悠仁に謝った。
「ごめんなさい。俺ほんとはここに来るつもりじゃなかった……。約束したときはもちろん来るつもりだったんです! けど……友達に止められて、俺……約束守らなかった。ごめんなさい」
悠仁は『それが何?』とでも言いたげな表情をしている。
「いま……いるじゃん……」
そして、また笑う。
しかし次の瞬間、少ししかめ面をした。
「……悠仁?」
「なんで……止められたの……?」
「それは、あの、悠仁がどうとかじゃないんです。だから……」
「……言って」
う……っ。
「実は……、悠仁の親衛隊に、目をつけられるって言われて……俺、恐くて……」
「あー……制裁……?」
「……はい」
「じゃあ……チアキにはなにもさせない……。それなら……いい?」
「……そんなの無理ですよ」
「大丈夫……。チアキだけは守るから。……会いたい」
「悠仁……」
「いい……?」
「……うん。俺もここに来たい」
「よかった……」
悠仁おもしろいし。可愛いし。屋上で寝たいし。何より、今さら悠仁を避けても意味ないし。
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