08
寮の談話室で、僕は2人掛けソファの片側に座り、もう片側には大量にマンガを置いていた。
僕を意識してチラチラ見たり、あまつさえ話し掛けようとする奴を自分の隣に座らせないようにするためだ。今は誰も僕に近付かないで。そういうオーラを出していた。
そんな中で、大胆にもこんなことを言ってくる人物が1人。この人物こそが、吉住太一である。
「幸ちゃん。横、いい?」
一瞬、不快に眉をピクッと動かしちゃった僕だけど、可愛いと評判の笑顔を作って顔を上げた。
「たっちゃんってばー、他にソファならいっぱい開いてるよっ?」
「幸ちゃんの横に座りたいな」
「でももう僕マンガ読み終わっちゃったから、部屋に帰るよ?」
「帰っちゃうの? じゃあ俺も帰ろっと。マンガ片すの手伝ってあげる」
「ありがとーっ」
聞く限りでは仲の良い者同士の会話。しかし、僕は内心しつこいと思っていた。僕達はマンガを片付けて、2人並んでエレベーターに乗った。
「……なに、今日もヤんの?」
「いいでしょ? だって幸ちゃんのこと抱きたいんだもん」
「俺、今日入学式とか、悠仁の誕生日会とかで疲れてんだけど」
「俺が癒したげる。ほら降りよう」
太一に手を引かれて、14階でエレベーターを降りた。
少し歩いて太一の部屋に入るなり、太一からキスを仕掛けてくる。俺はすぐに夢中になった。
「……んっ、ふ、はっ、……ぁ」
そのままベッドになだれ込み、太一が2回イくまでヤった。
「幸ちゃん身体、平気?」
広いベッドの上で仰向きに寝る太一。誰にでも優しい太一は、背を向けて寝ている僕を気遣うように言った。
「……別に、大丈夫」
「今日、珍しく積極的だったね。なんか嫌なことでもあった?」
太一はちょっとしたことでも僕の事に気付く。そう、僕は少しイライラしていた。宗一郎が今日、携帯をあの顔で見ていたから。
光くんだけに向けるあの顔。
「なんもねーよ。……それより、もぉ一回シよ? たっちゃん」
僕は太一の上に覆い被さり、可愛らしく誘った。
「その可愛いのもいいけどね、俺はいつもの幸ちゃんのがそそられるな。ぶっきらぼうな幸介で誘ってよ」
太一が俺を組み敷して、エロイ笑いを浮かべて言った。
「なんでもいーから、早くヤれよ。……俺をメチャクチャにしてよ」
「……やっぱその方がクる……っ」
太一は言い終わらない内に、僕の両足を抱え上げて僕を貫いた。
「あぁっ! そ、なっ、いきなりぃっ、あっあぁ!」
「やっべ……っ、も、イキそーなんだけど」
「だめっまだぁ! あっもっ、と……もっとぉ!」
僕は太一の腰に両足を絡ませて、自分も積極的に腰を揺らした。
「なにそれ、どこで覚えてきたの? そんなことされちゃあ頑張らないと、ねっ」
僕の足が絡まる腰を、僕が動くのに合わせて律動する太一。
「あぁぁあっ……ひぁ、あ、あ、ぁ……っ」
「イイ声……もっと聴かせて」
今度は小刻みに揺さぶられて、いいところばかりを擦られる。
「あ、あ、あんっぁあ! はぁっ、んっ」
「好き……幸介……」
「も、イクっイ、キそ!」
「いーよ。イッて……っ!」
太一は俺の腰を掴んで、深く貫いた。
「あぁっ――!」
僕がイくのと同時に、薄いゴムの中で、太一もイったのが分かった。
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