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 なぜ惹かれていったのか。いつの間に惹かれていたのか。そんなことは分からない。気付いた時には、僕は宗一郎をいつも見ていた。
 仕事をしつつも、いつだって圭吾の挙動に気を配っている宗一郎。誰よりも優雅に、上品に動く宗一郎。気の抜けた所を絶対に見せない宗一郎。
 いつも、主人に寄り添う完璧な執事。
 それが、宗一郎だった。そんな姿に惹かれたのかもしれない。

 でも、それを打ち崩す人物が現れた。圭吾の"桜井圭吾"の仮面さえも崩してしまう人物。当時はたった4才だった圭吾の弟の光くんだ。
 まだ幼稚舎にも入っていなかった光くんが、圭吾と宗一郎に会いに学園中等部の生徒会室へ来た。その時に見た、光くんを見つめる宗一郎の顔は今でも忘れない。

 僕たちのようなその他大勢の人間への顔でもない。もちろん圭吾に対する顔でもない。どこまでも甘くて、どこまでも優しい、特別な人を見る目。
 特別な人に向ける表情。

 まだ小さな小さな子供に、僕は戦う前から負けていた。


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