02
「何をしているんだ? こんな時間に。寮の門限はとっくに過ぎているぞ。坂本幸介君?」
中2の夏、僕は寮を抜け出して、学園から一番近い吉原駅前のベンチに、何をするわけでもなく座っていた。
そこに声をかけてきたのは、髪色を茶色に変えて、帽子を深く被った学園内一有名な生徒だった。
「……あんたこそ、門限破ってもいいのかよ? 生徒会長のくせに」
「まぁ、何事もバレなければそれでいい」
「……ふーん」
「それで、何をしているんだ?」
「別に。何もしてねーよ」
「じゃあ俺と一緒に遊ばないか。少しは楽しめるぞ」
何もすることがなかった僕は、返事もせずに立ち上がり、その人物の隣に立った。
「行くか」
「あぁ」
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