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ナルチャンは恥ずかしくて目を合わせようとしない俺の顔を両手で挟んで、強引に目を合わさせた。
「俺は教師だぞ。分かってんのか?」
「あと1年もしない内に俺、卒業するし」
「男だぞ」
「分かってるよ」
「年だって離れてる」
「たったの8つ違いだよ」
それを聞いてナルチャンが視線を逸らせた。
「たったのって……そんなに離れてんのか……」
「関係ない」
「……ハァ」
あ、ナルチャンため息……。
諦めさせよーとしてんのに諦めねぇ俺に呆れたかな……。
「……まさか言うことになるとはなぁ……」
「なに……?」
「……寺門、……俺もお前が好きだ」
「…………へ?」
「なんだそのマヌケ面は」
「……え、……え? もう1回言って、ナルチャン」
「マヌケ面」
「それじゃねーよ! その前!」
「……言えるかよ」
「ナルっ……」
ナルチャンが、俺にキスをした。
一瞬だったけど、ナルチャンから俺に。
「こーいうこった。……分かったか」
「ナルチャン……っ!」
「んんっ……」
俺は勢いよくナルチャンを床に押し倒してキスをした。
「おいっ……床っ、寺門! ……んっ、待てって!」
「……銀次って呼んで……ナルチャン」
「じゃあ、お前も……ナルチャンってのやめろ」
「……ベッドでなら続きしてもいい? ……文也」
「急に色気出してんじゃねぇよ、ガキ。今度は鍵、ちゃんとしろよ、銀次。……って、うわっ!」
ナルチャンを横抱きにして、所謂お姫様抱っこね、仮眠室に向かった。身長は変わんねぇけど、重くなんかない。だって俺、鍛えてるから。それにまだまだ成長期だし?
そんなことより、俺の息子さんが臨戦態勢で大変だ。
俺の話はこれでおしまい。色々あったけど、ハッピーエンドって訳だ。
あ、そうそう。8月の集会で原田を吊るし上げて、親衛隊から追い出したのは言うまでもないよな?
end.
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