07
「……ひっ、……う……っ」
「ナ、ルチャン……」
俺はナルチャンに触れていた手を離した。
「なんで……なんでこんなこと……っ」
「ごめん……でも俺っ……」
「どけよ……どっかいけ!」
「……ごめん」
そっとベッドから降りる。俺がベッドから離れたのを見ると、ナルチャンは着衣の乱れを粗方整えて、俺の方を見ることもなく出て行った。
それを見送ると足の力が抜けたみたいに、俺はその場にへたり込んだ。
なにしてんだよ……俺……。こんなことして『好き』だなんて言う資格ねーよ。
もう、俺……諦めるしかねーのかな……。
実際、生徒会役員と生徒会顧問っていっても接点なんかない。本当は顧問なんてあってないようなもんなんだ。
でも、ナルチャンは毎週、自分の持ち授業がない時間に生徒会室で資料に目を通してた。それで特に口を出す訳じゃない。ただ目を通して、学園の状態を知っておくだけ。面倒だからなんかじゃない。面倒ならそんなことしない。
きっと、生徒会が進めた企画や下した決断や処分の責任を、ナルチャンも持とうとしてくれてるんだ。もしもあとで間違いが見つかった場合には、自分も確認していたことだって、俺たちの味方でいてくれるために。
でも、もうこれまでみたいに金曜には来てくれなくなるだろう。俺が毎週顔を出してた金曜には……。
そしたらもう、会えねーや。また圭吾にナルチャンが来る日を聞く気にもなれねぇ。
もう、会えねぇ……。
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