05




 役員になって以来、もう1年以上も口説いてんのに……ナルチャンは全く相手にしてくれない。

 せめて何か俺を拒む理由を言ってほしい。
1.教師と生徒だから
2.そもそも男相手はありえない
3.受けが嫌だ
4.年下は範囲外
5.好みじゃない

 あ。自分で言っててヘコんできた……。まぁ1なら卒業するまで待てばいいし? 2なら目覚めさせてやる。3なら俺が受けに……なっても、いい、かな……。 4なら精神年齢あげる。 5ならナルチャンの好みの奴になるから。

 だから、なんでもするから、俺を見てくれよ。
 ナルチャン!!

 生徒会室のコの字型に配置されたソファに座って、ローテーブルに積まれた資料に目を通しているナルチャンの向かいに、俺は何も言わず腰を下ろした。


「またお前かよ……なんで毎週来るんだ」

「ナルチャンに会いたいから。毎週この時間にここで仕事してるし」


 そう、俺は週に一度だけ、授業をサボってナルチャンに会いに生徒会室に来る。それが役員になってからの習慣で、唯一の繋がりだ。
 高3になって、それが金曜の2時間目になってからはもう丸3ヶ月になる。来週は期末テストで、その2週間後にはナルチャンに会えなくなる夏休みが迫ってきていた。


「仕事なんかしてねーよ。資料に目を通してるだけだ。役員を信用してない訳じゃねぇぞ。一応だ」

「わかってるよ。ナルチャン責任感強いから」

「……ふん。知ったよーな口ききやがって」

「知ってるよ。もう3年もナルチャンだけを見てるから」

「バカヤロー。相手間違ってんだよ、お前は。そんなセリフは彼氏……彼女? ……にでも言ってろ」

「……間違ってねーよ」


 いつもそうだ。俺が何を言っても聞いちゃくれない。俺を見ない。
 だから俺、イライラして無理矢理にでも、こっち向かせたくて、こんなことしちまうんだ。


- 29 -



[*前] | [次#]
[戻る]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -