04
この時、俺はその人に所謂一目惚れをしたわけだな。名前は分かんなかったけど、高等部の生徒会顧問ってことは分かった。
それでまず行くところ。……そう。当時は中等部の生徒会長だった圭吾のところだ。
俺が入ってるチームのたまり場になってる"RINK"って店には、一般客は行くことができない2階に特別な部屋ある。通称"幹部室"。うちのチームの総長と隊長4人しか入れない部屋。
その日は、幹部室で総長が1人、優雅に紅茶を飲んでいた。
「キヨ! お前高等部の生徒会顧問、知ってるか!?」
「あぁ……今年度から顧問になったっていう新卒の奴か?」
「その人! 名前は!? 年は? 付き合ってる奴いんのか!?」
「はぁ? そんなこと俺が知るわけないだろう、バカか。まぁ年は新卒なんだから22だろうな。名前は成瀬だ。成瀬文也」
「なるせ、ふみや……」
「急にそんなことを聞いて、どうしたんだ?」
「惚れた」
「は?」
「一目惚れした。今日」
「……まぁ、なんでもいいがな」
「キヨ、頼むよ。俺を生徒会に入れてくれ!」
「もう任命期限は過ぎた。無理だ」
「そこをなんとか! この際、会長補佐でもいいから!」
「俺は補佐は置かない主義だ。大体、お前と付き合っていると思われるなんて死んでも嫌だ」
「俺もネコだと思われんのは死んでも嫌だけど、俺、成瀬に近づきてぇんだよ!」
「生徒会に入りたいなら、あと2年待つんだな。高2になれば、また俺が会長をすることになるだろう。それまでに成績を上げろ。無能を入れたとあっちゃ俺の面子に関わる」
「2年……」
「まぁ、ただの一目惚れならすぐに冷めるだろうがな」
「高2で絶対会長になれるんだろうな!?」
「この俺がならなくて誰がなる」
「……よし、分かった。俺これからはちゃんと授業に出る。成績を上げる。ランキングも10位以内に入ってみせる! だから、お前が会長になったら、俺を役員にしてくれ!」
「まぁ、結果次第だな」
そんな訳で、俺はそれからランキング上位者になるために学校に行った。外見で判断する奴らを意識して髪の色も抜いた。カラコンは元から入れてたけどな。
そして俺は、高2から念願の役員になれたんだ。
あぁ、分かってると思うけどキヨってのは圭吾ね。なんでも"圭"は"キヨ"とも読むんだと。まぁチームに入ってるような奴は本名を名乗らないことが多いけど、圭吾の場合はチーム内外に"桜井圭吾"だとバレるのはマズイから、キヨなんて呼ばせてんだろーな。
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