03
チビが俺直伝のテクを使ったかどうかは知らねーけど……てか使ってたら宗が犯罪者になってる可能性が……いや、ないないないない! さすがに6歳のガキ相手に勃たねぇよな! うん、そうそう! そう思おう! そう思いたい!! 宗スマン! 一応謝っとくわ!
それより、みんなが気になってるナルチャンの話をしよう。うん、そうしよう!
俺が初めてナルチャンを見たのは中3の春だ。
その当時、俺は寮を抜け出したり、学校サボったり、生徒会に入るようなタイプの生徒じゃなかった。ランキングには入ってたけど、10位〜15位くらいだった。家柄は上の中、成績は中の下、ランキングに入ってることが奇跡みたいなもんだった。
ナルチャンを初めて見た日は、珍しく学校に行ったはいいけど、ダルくて屋上でサボってた。
屋上の出入り口の上にある貯水槽でできた影で昼寝してた時、勢いよく扉が開く音がしたんだ。
「おし、ここは誰もいねぇな! ……あンのクソジジィー! 面倒事を人に押しつけてんじゃねーよ! なーにが顧問として近くで生徒会を見てれば学校のことも分かってくるよ、だ! ボケェッ!! もっともらしいこと言って結局は自分がしたくなかっただけだろーがぁ!!」
それからすぐにすごいデカイ声がして、半端ない独り言を喋りだした。
「あぁー、クソ。ちっともスッキリしやしねぇ……。あのハゲオヤジめ、新任教師の足元見やがって……断れるわけねぇだろ。……生徒会顧問か……あぁー、最悪だよチクショー」
俺はそんな独り言を喋る奴がどんな面してんのか気になって貯水槽の影から覗いてみたんだ。
その時、なんつーか、あぁこの人だって思った。
「煙草までマズく感じやがる。……もー帰ろ」
帰ってしまうと分かって、でも話しかけることができなくて、気付かれないように後ろをついて行くしかできなかった。
そのままついて行って、その人が中等部の敷地から出て、高等部の敷地に入っていくのを見送った。
一般生徒は自分が所属する敷地内から出ちゃいけねぇからな。
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