02
「じゃあぼくけんちゃんにチューしよ〜」
そう言って賢二の顔に自分の顔を近付けた光。
「ちょっ、光様!」
「チビ! まてまて! そういう好きじゃねーんだ! まだ早い! お前にはまだ早いぞー!!」
賢二と俺は必死で光を止めた。
小2で恋愛なんざ、まだまだ早いってな! そう思うだろ?
「そういうすきってなに〜?」
「つまりだな……チューをするのは一番好きな奴にだけでだな……一番好きな奴同士でするもんなんだよ」
「一番すき?」
「そう。誰にもとられたくねぇ、自分だけがソイツの中にいてぇって思う奴だ」
ナルチャン、早く俺のもんになってくんねーかなー? もう1年もアピールしまくってんのにさ。全然なびかねー。この時みたいに無理矢理キスすんので精一杯なんだよな。
「そーちゃん!」
「……宗? がどうしたんだ?」
「ぼくそーちゃんのこと、一番すき!」
「……は?」
「本当なんだよ、銀さん。光様は兄さんのことが好きなんだ」
「え、え? マジで!?」
驚きだよなー。天使が悪魔に恋しちゃったーみたいな? てか歳の差! 10歳違うからね! 完全に犯罪じゃん。
まーおもしろいから教えてやったのよ。恋愛の極意ってヤツをさ。はーい、1年かけてもナルチャンを落とせない奴が何言ってんのとか言わなーい。
「チビ、いいこと教えてやらぁ」
「いいことっ?」
「宗の部屋に泊まって、夜寝る前に言ってみな? 『チューして?』ってな」
「ねる前に?」
「あぁ、その前に一緒に風呂に入るのもいいな。それでだな、宗とチューしたら、宗はお前のもんだ」
「ぼくのもの?」
「チューは好きなもん同士でやるもんだからな」
「じゃあ銀ちゃんとナルチャン先生ってすきなもの同士なんだね〜!」
「…………あ、はは……チビ〜? そのこと誰にも言うなよ?」
「うんっ!」
子供の素直さは……本当、残酷だよな……。
「銀さん、ごめん……俺も誰にも言わないから」
賢二の大人な対応も……以下同文……。
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