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 音読が終わり、光様は私が作った九九表を見ながら計算ドリルを始めた。
 私は光様の勉強の様子見とキッチンの往復を繰り返していた。


「おわったぁ〜!! 計算ドリルもおわったよ、そーちゃん」

「お疲れ様です、光様。ちょうど夕食の準備もできましたよ。さぁ食べましょう」

「わぁ〜い! グラタ〜ン!」


 満面の笑顔でテーブルに着く光様の前にグラタンを置く。


「熱いので器に触らないようにしてくださいね?」

「うんっ! いただきま〜す! ……おいし〜いっ! おいしいよ〜そーちゃん!」

「それはよかった。あぁ、お口の周りにホワイトソースが付いてますよ」


 光様の口を拭いてあげながら思う。
 本当ならばそのソースを舐めたい! 白いものを口につけるなんて、計算? ……な訳がないけれども、ナイス選択! ナイスだ私。そしてグラタンを好きな光様ナイスです!

 あぁ……どんどん自分が崩れていく……。


「ごちそうさまでしたぁ〜。おいしかったぁ〜!」

「光様、デザートはいかがですか?」

「食べる〜!!」


 そうだ。光様がデザートを召し上がっている間に、お風呂の準備をしておこう。


「それを召し上がられたらお風呂に入ってくださいね? 今、準備をしてきますので」

「うんっ! いっしょに入ろうねぇ〜」

「はい」


 ……はい!?
 一緒に!? 一緒にって……一緒に? 2人でお風呂に入るって意味か?

 むりむりむりむり……。
 そんなことをして普通でいられるのか私は? しかし今『はい』と肯定してしまった。今更やっぱり無理ですって言うのはおかしい。
 覚悟を決めろ、宗一郎。度胸だ。心頭滅却すれば何とやらだ……。彼氏の家に初めて泊まる処女か、私は。
 ……とにかくっ!
 光様はまだ小学生。まだ6歳だ。おかしな気を起こす訳がない。意識するから駄目なんだ!


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