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4月が終わりに近づき、高等部は中等部からの持ち上がりでクラスやルームメイトが変わることはほとんどないが、稀にあるその変化によって起こるトラブルも粗方落ち着いて、最大の問題であった会長補佐指名の騒ぎもおさまってきた頃。
私の元に光様からメールが送られてきた。
『おねがいがあるの。金曜日にそーちゃんのおへやにおとまりしてもいい?』
お……とまり? ……私の部屋に?
なぜ? そんな喜ばしいことはないが、どうしてだろう?
『光さまがそうしたいのなら。わたしはうれしいですよ。でも、なぜですか? お家でなにかありましたか?』
『よかった! なにもないよ。そーちゃんとお話したいだけだよ。』
『そうですか。わたしも光さまとお話がしたいです。それでは金曜日、いつものようにおむかえに行きますね。』
『うん! まってるね! でもみんなにはないしょにしてね。』
『ないしょに? どうしてですか?』
『いいから! パパとそーちゃんパパとけんちゃんには言ってあるから、そーちゃんはだれにも言わないでね。ぜったいだよ?』
旦那様と父さんに許可をとってあるなら、大丈夫か。私の部屋に泊まるのに圭吾様にも秘密。やはりなにかあるのか……?
『わかりました。それでは金曜日に。光さまの大すきなグラタンを作りますね。』
『グラタン! やったぁ! じゃあ金曜日、また校門でまってるね!』
『はい。賢二と2人でまっていてください。2人でですよ』
光様が私の部屋に泊まる。初めてだ。こんなこと。
光様がお生まれになってまだ間もない頃に寮に入ったことと、生徒会役員は長期休暇でも限られた期間しか実家に帰れないせいで、圭吾様と私は光様とあまり関わりを持てなかった。賢二ともそうだ。
それでも家族ではない私と親しくして下さっていること、本当に嬉しく思う。
でも、金曜の夕食はどうしようか? 圭吾様を1人で食堂に行かせる訳にはいかない。……銀次に頼むか。
朝食はどうする? 朝食は光様と3人で食べればいいだろうか。『内緒に』と言われてはいるが、朝になるまでには事情も聞けるだろう。
いざとなれば圭吾様のお部屋へ朝食をお届けすればいい。
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