13
「光様。賢二」
「そーちゃんっ!」
初等部の校門で待っていた光様と賢二に声をかけると、光様は嬉しそうに私へ駆け寄ってきた。
「お待たせしました。さぁ、行きましょうか」
「うんっ!」
背中より大きなランドセルを背負って、私の手を笑顔で握った光様。……可愛いすぎる。
隣接している中等部と高等部とは違い、初等部から高等部までは車で移動するより他ない。迎えに来る際に私が乗ってきた車に乗り込み、高等部へと向かった。
この車は、私があらかじめ呼んでおいた桜井の私用車である。運転をするのは形式上、私の部下に当たる人物で桜井の使用人。寮の無い初等部に通う光様と賢二は毎日、使用人が運転する車で学校と自宅を行き来している。
車が高等部の正門に着いた。私達は車を降りて、徒歩で管理棟の生徒会室へと向った。
「ひかる! 久しぶりだなぁ! 兄ちゃん、光に会えなくて寂しかったぞ〜」
「ぼくもさみしかったよ〜おにいちゃーん!」
いきなり抱き合って再会を喜ぶ2人。銀次も圭吾様と共に我々を出迎えた。
「おっ来たな! チビ達何飲みたい?」
「ぼく、オレンジジュース〜!」
「じゃあ僕もオレンジジュースをお願いします」
「おっしゃ! そこ座って待っとけな」
今はもう受け入れられた光景だが、圭吾様の豹変ぶりを初めて見た時は銀次や幸介はもちろん、悠仁までもが口をあんぐりと開けて驚いていたものだ。
「銀さん……俺も……ジュース」
「はいよー。お前も座って待ってろ」
「ひーかる! 兄ちゃんの膝に座るか?」
「うんっ!」
今日、始業式のあとは真っ直ぐ部屋に帰るようあの子に言ったのは、あの子の身を心配しているからだと解釈していたが……。
光様と接する所を見られたくなかっただけなのでは……?
- 13 -
[*前] | [次#]
[戻る]