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翌朝、寝室に目覚まし時計の不快な音が鳴り響いた。目覚まし時計を止めて、大きく伸びをする。毎朝のストレッチは欠かさない。
6時に起床、身支度を整えて朝食の準備をする。7時に圭吾様を電話で起こし、7時半頃から私の部屋で共に朝食を食べて、8時に部屋を出る。
これが我々の朝の習慣である。
「……ん?」
顔を洗い、髪を整えて、寝室で制服に着替えていると、ふと枕元に置いていた携帯が光っているのに気が付いた。
『おはよー! そーちゃん! 今学校に行くとちゅうだよ。きのうはおへんじできなくてごめんなさい。ぼく今日そーちゃんたちに会いたいです。むかえに来てくれる?』
今日、光様に会える!
久しぶりだ。本当に久しぶり。
『おはようございます。わたしにあやまらなくていいですよ。気にしていません。それでは今日、学校が終わったらむかえに行きます。賢二と2人で校門で待っていてください。ぜったいに2人で待っていてくださいね。』
賢二が光様を1人にすることはないと思うが念のため。
7時半過ぎ、身支度を整えた圭吾様が部屋に来られた。朝食をダイニングテーブルに並べる。
「なんだ? 今日はなんだか豪華じゃないか」
「あぁ、少し作りすぎたようだ。……圭吾、今日の放課後、光様が会いたいとおっしゃっている。私が初等部へ迎えに行くが、圭吾はどうする? 一緒に行くか?」
圭吾様は昔から2人でいるときに私が敬語を使うのを好まない。他に人がいないときだけは、対等な友だと言ってくれる。
「光が? なぜそんなことお前が知っている?」
「今朝メールが来た」
「なに!? メールだと!? 携帯を買い与えられたのか! 俺は知らんぞ!」
「そうなのか?」
驚いた。私にしかメールをしていないのか? 賢二に私とメールできるようにしてもらったとおっしゃっていたが……。
「……俺は生徒会室で待っている。お前だけで迎えに行けばいいだろう。会いたいと言われたのはお前なんだからな」
「拗ねるなよ。携帯の使い方が分からないだけだろう。私にメールを送れたのは賢二が教えたからだとおっしゃっていた」
「賢二……あいつ……、今度一発殴ってやろう」
……では、私は撫でておこう。
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