09




 そんなやりとりの中、圭吾様が時計を見て告げた。


「もう2時か。少し遅いが昼食にしよう。打ち合わせはそのあとだな」

「ルームサービスを頼みましょうか?」


 生徒会役員にのみ許された特権の1つが無料のルームサービス。生徒会室で仕事があるため、食堂に行かなくとも食事をとることができる。


「……食堂……行きたい……」

「あ、カード使いたいんだねっ! ひーちゃん」

「うん……」

「まだスイーツを食うのか……。まぁいい、行くぞ」


 悠仁と共に生徒会室から出ていく圭吾様。銀次のことを忘れておられるな。いや、あの人のことだ。わざとかもしれない。
 一応銀次にメールを入れておいてやろうと携帯を開くと1通メールが来ていた。メールを見ると、題名には『ひかるだよ』と書かれてある。私は慌てて本文を読んだ。


『そーちゃんへ。ぼくケータイかってもらったの。けんちゃんにそーちゃんにメール送れるようにしてもらったんだよ。まだつかいかた分からないけど、ぼくとメールいっぱいしてね。明日からぼくも学校に行けるからそーちゃんに会えるよ。またあそびに行かせてね。ひかるより。』


 ……ひらがなばかりで可愛い。改行の仕方が分からないのだろう。分からないながら一生懸命メール作成してくれたんだと思うと嬉しさが込み上げて来る。


『メールありがとうございます。すぐにお返事ができなくてごめんなさい。いつでもメールしてくださいね。次からはすぐにお返事します。明日から2年生ですね。こまった事があれば、賢二に言うんですよ。そして、わたしにも言ってください。お兄さんに会いたくなったら、メールしてください。光さまの所までむかえにいきます。』


 よし。これでいい。最後は少しずるい言い方だったかな。私に会いたくなったら……などと言える訳がないが。
 ちゃんと光様のアドレス、登録しておこう。光様のメールが来た途端、ただの携帯を宝物のように感じてしまう。


「ねぇ宗ちゃんってば! さっきから携帯見ながらニヤニヤして何なの〜? 僕たちも早く食堂行こうよっ」

「あ、あぁ悪い。そうだな」


 そうだ、銀次にメール送るつもりで……。


「悠仁ー! 買ってきたぞ! アイス10個! ……って、あれ?」


 銀次が息を切らして生徒会室に戻ってきた。


「もういないぞ。さぁ私達も食堂へ行こう」


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